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儚き想い、されど永遠の想い
376部分:第二十九話 限られた時その七
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も。
 その冬がようやく終わろうとしたその時だった。
 神戸の町にもだ。その花が出て来たのだった。梅が。
 紅や白のその花達、冬の終わりに咲いた梅達を見てだ。真理は恍惚として言うのだった。
「もうすぐですね」
「はい、春ですね」
「もうすぐ春なのですね」
 梅が咲いたのを見てだ。それを実感しているのだ。
 そのうえで義正と話してだ。また言うのだった。
「春、最初の春ですね」
「まずはその春を無事に迎えられました」
 そのことをよしとしてだ。義正は真理に述べた。
「そしてです」
「それからですね」
「そうです。また梅を見ましょう」
 今の春の終わりだけではなくだ。次の梅もだというのだ。
「そうしましょう」
「そのつもりです」
 少しだけ勇気を込めてだ。真理は言った。

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