暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第??話 -彼のいないところで-
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とすだろう。それは普通の女子高生には耐えられない恐怖だ。現に彼女の体は小刻みに震えていた。だが、シェリーがもがいてもその体はびくともしないほど力強く抑えられていた。シェリーはその姿に今は亡き姉の姿を重ねた。自分の身を挺してまで守ろうとしてくれた唯一の存在を。だが死神の足音は確実に近づいてくる。リロードを終えたベルモットがこちらに歩き始めたのだ。

「Move it,Angel!!!」

――ドン!――

「ぐっ…」

撃たれたのは、シェリーではなかった。眼鏡をかけた女性が車からコンテナにいつの間にか移動し、ベルモットを撃ったのだ。その銃弾は彼女の右肩をえぐり、未だ背を向けているベルモットからすれば生殺与奪を完全に握られてしまっていた。

「ラ、ライフルの死角はとったわ。そしてあなたが振り向いて私を撃つより私が貴女を打ち殺す方が早い…さあ!銃を捨てなさい!!さもないと…「ジャコ!」…ッ!!?」

完全に有利に立った思われた眼鏡の女性は聞いた。自分が背を預けているコンテナの横の道からショットガンのポンプ音が聞こえてきた。そしてこちらへ歩いて来る足音も。

「(コンテナを降りたの!?…やばい!)」
「オーケー、カルバドス!挟み撃ちよ。さあ貴方愛用のそのレミントンでFBIの子猫ちゃんを吹っ飛ばして「ほう…」…え?」
「あの男はカルバドスというのか。ライフルにショットガン、拳銃3丁。どこかの武器商人かと思ったぞ…」

現れた男はニット帽に鷹のように鋭い目をした男だった。


――


「っぐ…!!」

現れたニット帽…赤井秀一は拳銃をこちらに向けたベルモットに対し容赦なく自身が持っていたショットガンを発射した。細身の女性であるベルモットがまともに喰らえば胴体は今頃ザクロのようにはじけていただろう。だが……

「ダメよ、シュウ!殺しちゃ…」
「安心しろ。アイツの動きから防弾チョッキを重ねて着ているのは瞭然。まあ、この距離でバックショットをまともに受けたんだ。肋骨の2,3本は折れているだろう」

そう言いながら、赤井はベルモットの方へ歩いていき眼鏡の女性とベルモットの対角線上に入った。眼鏡の女性をかばいたてられる位置に。

「それよりも見ろ。9粒弾の散弾で割けた奴の顔を。出血があるという事はあれが奴の変装なしの素顔ってわけだ…おいおい。最後のあがきか?いくら防弾チョッキを着ていても二度目は耐えられまい…」

ベルモットはこの場で逆転の目がないことに気付いていた。自分に残されているのが逃走しかないことも。だが、動揺し、照準が合わないことからシェリーに近づいたことから車から離れてしまったこと、赤井が眼鏡の女性をかばい立つ立ち位置、つまりこちらに近づいたこと、そして車に乗るにはさらに距離を詰めなければいけない
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