暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第??話 -彼のいないところで-
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そ輝く人。彼は昨日、遠い異国の地で夢を叶えていたわ…ベルモット。貴女の質問の答えはこれ。あの人が私に変装して身代わりになっ「パン!」た…!!」

シェリーがすべてを語る前に女性…ベルモットは銃弾を放っていた。その銃弾は空気を切り裂きシェリーの左頬をかすめるようにして進んでいった。左頬を気にする間もなく、シェリーは見た。見入ってしまった。対峙するにも恐ろしい冷え切った眼をしていたベルモットの目に幾つもの感情が浮かんでいるのを。憤怒、殺意、嫌悪、軽蔑、憎悪、そして嫉妬、憧憬。あらゆる感情がないまぜになって、それはとても人間的な表情だった。

「…そう!……そう、なのね。確かに貴女の近くには彼がいたわね。そう、彼ならそうするわね……シェリー、私は、貴女を、殺す。恨むのならあの愚かな研究を引き継いだ貴女の両親を……そして彼を惑わす魔女となった自分自身の存在を…!!」

彼女の中でシェリーはただの抹殺から、憎悪し存在を許せないモノになった。そうして彼女が引き金を引こうとした瞬間、車のトランクが開き黒髪の女性が飛び出してきた。その女性は高校生くらいでしなやかに身を躍らせ、車の上を走った。
コンテナの上には狙撃銃を構えた男がおり、飛び出してきた女を狙撃した。俊敏な黒髪の女性の動きに照準が合わないのか、銃弾は彼女にあたることなかった。
黒髪の女性はシェリーに飛びつき、彼女を冷たいアスファルトの上に押し倒し、その上から覆いかぶさった。まるで子供を守る母親のように。

「待ってって言っているでしょう!?カルバドス!」

黒髪の女性の姿を目にしたベルモットは狼狽した。なぜ?どうして彼女がココに?だがこのまま仲間のカルバドスに撃たせ続ければ確実に彼女が殺されることに気付き、コンテナの上に配置していた仲間のカルバドスを自らの拳銃で牽制した。

「ふう…」

そしてベルモットは一息つき、動揺した精神を落ち着かせようとした。彼女は自分では気付いていなかった。拳銃を持つ右手が震えている事に。

「さあ、どきなさい!その茶髪の子から…死にたくなければ早く!」

それはどこか懇願するような声。シェリーはその声を聞き、自らを身代りにしようとする女性の下から這い出ようとした。だが、出来なかった。

「ダメ、動いちゃ!警察を呼んだから!!もう少しの辛抱だから!お願いだから動かないで!」

動かない彼女にベルモットはわざと外した銃弾を浴びせた。周りのアスファルトがそのたびに散り、小さな悲鳴を重ねる。だが決して動こうとしなかった。やがて弾が切れ、新しいマガジンを入れる。だが、長年拳銃を扱ってきた彼女には似つかわしくないもたつきようで二度、三度トライしてやっとハメ込むことができた。

銃弾にさらされ、今無防備に曝している背中を撃たれれば彼女は簡単に命を落
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