暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第四十二話 -網にかかった謎-
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「んー、美味いなこのハーブティー。それにすっげえいい香りだ」
「ほんまやなあ。これ、新しいブレンドなん?」
「そうそう。世界大会も近いし、色々試してるんだよ」
「あー、そういやそろそろだっけ。確か帝丹小の冬休み明け前々日だからゆっくり応援できるぜ」
「ウチは当日ガッコ休んで会場で応援です。なんや、ウチも緊張してしまうなあ」
「ははは、今から緊張してたら身が持たないよ?」
「…なーんで、本人が一番リラックスしてるんだ?」
「そりゃ、二度目だしねえ。まあ今回はまた面倒な方式でそっちの方は厄介かなー」
「今回の方式?」

美國島の一件があって数日、新ちゃんが家に遊びに来たので俺の部屋に案内して紅葉と一緒にまったりしている最中だ。

「今回は、前回とはまた変わって審査員は10人の採点方式。なんだけど、それにプラスして観客の人の評価も点数に入るらしくてね。どれだけの人数の観客が担当するのかはわからないけど実際に食べてみたい料理を投票するんだって。だから、実食する審査員と違って五感に訴える工夫がより必要になってくるらしいよ」
「……ああ。それで最近の龍斗のお料理、盛り付けがコースみたいな見栄えのええものになったり、調理中の香りが強くなったんやね。ご近所さんから苦情入ってましたよ?ご飯時に流れてくる美味しそうな匂いを何とかしてくれって。遠くは丁目違いの所から」

そう言って半眼で睨んでくる紅葉。ああ、俺が対応しただけでなく他にも苦情が来てたのか。まあ…

「ごめんごめん。先に言っておけばよかったね。でも、丁目が違う所まで香りが届いているのなら会場がそれより大きいってことは無いから会場中に届けられるってことだな」
「……なあ、紅葉さん。確かに近所を通った時に「あ、このお宅は今日カレーだな」ってのはオレにも経験あるけどさ。料理の事はからっきしだからわかんねーんだけどよ、調理中の香りってそんな遠くに届くもんなのか…?」
「ウチも家庭料理くらいをちょこっとかじっただやけど、まあありえへんことやな。しかも聞くに、香りが漂ってくるのはある時間帯だけであとはぴたーって止まるらしいんや」
「……なんだそれ?普通、匂いってものはどんどん薄まっていくもんじゃねーのか?」
「いや、そんな怪しむような目で見ないでも。単純に、そういう風に計算してるってだけさ。実食の時まで漂わせるようなものじゃないし」

まあ、言ってることがおかしい事は二人が唖然としてるのを見ないでもわかる。でもね?料理歴1000年以上は伊達じゃないんですよ?それくらい出来なきゃ、トリコ世界の宇宙では生きていけません。

「はあ。まあ龍斗だからな」
「せやね、龍斗やからな。それで?その非常識なこと、予選でもやったんですか?」
「いやあ、そこまでおかしい事はしてない…よ?……あ」
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ