第四十一話 後編 -そして人魚はいなくなった-
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蘭ちゃんたちは紅葉が上手く離れるように誘導してくれた。
「二人とも…」
「なんや、龍斗?」
「どうした?」
「この三つの事件、同一犯か、個別の三つの殺人事件なのか俺には分からない」
「??そこは、オレ達探偵の仕事やで?」
「そうだぞ?龍斗?つってもまだ推理の途中だけどな」
「だけど、三つ目の事件。これだけは俺は確信を持って犯人が誰かを言える」
「何!?ほんまか、龍斗!?」
「うん。だけど、さっきも言った通り事件の関連性なんてさっぱりだから言うわけにもいかなくてね。だから二人に伝えて「いや…」っと?」
「一つでも答えを知ってちゃ、他の二つもそれに引っぱられちまうだろ?だからオレは聞かねえぜ。…ま、推理出来た後の答え合わせに聞くかもしれねーけどな?」
「オレもや。自分で解かな探偵やないしな」
不敵にうなずきあう二人…そうか、そう言う考え方もあるのか。なら言うわけにもいかないじゃないか。
「そっか。じゃあヒントだけ。「ノックスの十戒」だよ」
「ノックスの十戒?」
「推理小説の鉄則のやつやな」
今回は10番目の「双子・一人二役は予め読者に知らされなければならない」が三番目の殺人に関わっている。これくらいのヒントなら推理の支障にならないよね?
「今は何のことかわからへんけど…」
「全てが解けた時、意味が分かるってことだな」
そう言って、焼けた倉の現場に向かっていった。
――
現場検証しても推理を決定づけるものは出てこなかった。そんな中、蘭ちゃんが神社で受けた電話で進展があった。なんでも、儒艮の矢を100万で売って貰った人からの電話でありその矢を売った人の容姿が門脇弁蔵さんの物だったのだ。ちなみにその売って貰った人というのが、札をキャンセルした三人のうちの二人にあたる老夫婦とのこと。ともかく、売った矢というのが沙織さんがなくしたものと当たりをつけ、名簿が紛失したこと、奈緒子さんの矢が無くなったことも合わせて弁蔵さんに疑いがでてきた。そこで、平ちゃんは通夜を行っていた網元の家に調査に走って行ってしまったので俺達は弁蔵さんの家に向かうことにした。
「な、なあ蘭ちゃん、紅葉ちゃん?」
「どないしました?」
「あ、あんな。アタシ平次のとこ行ってくる!」
「へ?あ、和葉ちゃん!?」
「大丈夫やー!アタシには儒艮の矢もあるしー!ほなまた後でー!」
俺達が止める間もなく、和葉ちゃんも走って平ちゃんの後を追って行ってしまった。…ったくもう。
「なあ、龍斗。和葉ちゃん大丈夫やろか?」
「大丈夫。平ちゃんと合流するまで追跡するから」
儒艮の矢が狙いなら和葉ちゃんも危ないだろう。だけど、犯行は全て夜だったし彼女の周り50mには人もいない。そのまま進めば大丈夫だろう。
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