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名探偵と料理人
第四十一話 後編 -そして人魚はいなくなった-
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「ゆ、ゆ、幽霊ってこと!?」
「……っ!!」

…どういうことだ?なぜ彼女は倉の中で焼け死んだ?

「君恵〜…どこじゃ君恵…」

ん?どういうことだ?弥琴さんが君恵さんを探すって…

「君恵さんまだ帰ってきてへんのか?」
「う、うん」
「おい、服部…のおにいちゃん。確か君恵さん、神社で初めて会ったとき歯医者に行ったって言ってたよな…」
「ア、アホ。なにいうてんねんおまえ…」
「とぼけんな。今お前の頭にもよぎっただろ?オレと同じ嫌な予感が…」

そう言って二人は君恵さんの荷物から歯医者の診療カードを見つけ、焼死体の歯型と歯科に残っていた治療痕を照合するようにと、小五郎さん経由で福井県警に打診した。
なるほど、ね。入れ替わりか。だけど…


―半日後―


照合の結果、治療痕と焼死体の歯型は一致したそうだ。慟哭を上げる禄郎さんに涙を浮かべる蘭ちゃんと和葉ちゃん。だが…

(どういう事なん?龍斗。君恵さんと、焼死体が一致するわけないじゃないですか!)
(ああ、多分入れ替わりの入れ替わり、ってことなんだろう)
(じゃ、じゃあ一連の犯人はあの人って事なんやろか。ならウチらの見たあの人影は変装してたあの人やったんやね…)

紅葉は聡い。この焼死体のからくりは俺の言葉で理解したのだろう。だけど…

(それは沙織さんの件だけだ。後の二人の方は証拠もないし、連続殺人ではなく単独殺人かも知れないし、仮に三人を殺していたとしても白を切られればどうしようもない)

そう、あの焼死体の件だけなら今告発すれば彼女を逮捕できるだろう。だけど、寿美さんと奈緒子さんの件は彼女の連続殺人だった場合、確たる証拠にはならない。最悪沙織さんにその二つは被せられる可能性がある…あとは二人の名探偵に任せるしかない…か。

(そ、そうやね。今の情報だけじゃあの二件の殺人の証拠にならへんもんな)
(ああ。この事は俺が機を見て伝えるから。黙っておいてな?)
(う、うん…)

まさか、島を盛り上げるためのものだと思っていたんだけどね。あの時点で気づいたことが事件に関わってくるなんて思いもしなかったよ。


――


「そうか、君恵が死んだか…」
「スマンなバアさん。オレ達が目を離した隙にやられてもうた…」
「また若い命が消えてゆく…この老いぼれはまだ生き恥をさらしているというのに。比丘尼の気持ちがよう分かる…すまんが少し一人にしてくれないかの?」
「あ、はい…」
「ねえ、おばーさんが誰かに頼んで移したって言う人魚の墓。誰に頼んだの?」
「聞いても無駄じゃよ。そ奴もワシを置いて逝ってしもうたからのう…」

弥琴さんに君恵さんの死を伝えた平ちゃんたちは現場検証をしている倉に向かう…途中で俺は二人を引き留めた。
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