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名探偵と料理人
第四十一話 後編 -そして人魚はいなくなった-
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えられた。その為、俺達も今日の宿である旅館に帰ることにした。俺はそのやりとりを小五郎さんたちがしている間、彼女の口元をじっと観察していた……


――


「ええ!?夕飯の準備ができない!?」
「申し訳ありません。何分小さな島なので厨房担当は自宅の方に戻っておりまして……」

元々、お祭りを見たらすぐ戻るはずだったので十分に夕飯には間に合うはずだった。それが寿美さんが亡くなり、島袋家に寄って話を聞いたりと時間を食ってしまって現在22時。普通なら外で食べてきてくださいと言われてもどうしようもない事態だ。旅館を出る際に、「帰ってきてから用意してほしい」と小五郎さんが伝えていたのが裏目に出た結果だ。

「そこをなんとかできませんかね?」
「と、おっしゃられましても……おにぎりなどの軽食でしたら私共が作ったものでよろしいのであればご準備できますが…」
「うーん、それならないよりまし…か…あ!」
「へ?」

顎に手を当てて、天井に目線をやっていた小五郎さんが納得し、目線を女将さんに戻す…最中に俺と目が合い、声を上げた。

「そうだ!女将さん、俺達の料理分の食材は残っているんだよな!?」
「え?ええ、そりゃ勿論。旅館の冷蔵庫の中にございますよ」
「そして足りないのはそれを料理する人間!だがオレ達には世界最高の料理人がいる!!」
「あ、そっか!」
「おっちゃんさえとるやん!」
「おお、たまにはいいこと言うやんけ!」
「そっか、龍斗にいちゃんが居たね!」

おい、無邪気に喜ぶな幼馴染みズ。いやまあ、作れと言われれば作りますけどそんな簡単に厨房を貸してくれるはずが……

「え!?あなた、緋勇龍斗なの!?オバサン大ファンなのよ!!え?あなたがうちの食材で作ってくれるの!?きゃー、いいわよ!あ、それからサイン貰えない!?家宝にするから!」

貸してくれるはずが……貸してくれるのね。

「は、はあ。旅館の女将さんが了承してくれるのなら作りましょう。それじゃあ、女将さん、調理場を教えていただけますか?皆は部屋に戻ってて」

俺は単身女将さんに連れられて調理場に案内された。使っていい食材と器を教えてもらい、調理を開始した。


――


「っと。こんなものかね」
「す、すごい手際ね。オバサン感心しちゃった」

女将さんは結局、最初から最後まで調理場に残っていた。まあ変なことをしないかの監視の意味合いもあったのだろうけど途中からただの観客になってたな。

「それじゃあ盛り付けて部屋に持っていかないと」
「じゃあ私もてつ「あのぉ…」…あら?」

その声に調理場の入り口を見ると女性陣が覗き込んでいた。

「どうしたの?三人とも」
「いや、やっぱり龍斗君だけに任せっきりは悪いなあって」
「ウ
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