第四十一話 後編 -そして人魚はいなくなった-
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の後しばらくしても、平ちゃんは姿を現さない…探しに行くか。
(何故だ、なぜこの場に現れない、服部!…龍斗?!)
俺が立ったことに気付いた新ちゃんに頷きで返すと(頼んだ!)と小声で返してきた。
「紅葉、ちょっと平ちゃんたちを探してくる」
「分かりました。お気をつけて…」
早く推理ショーをはじめろ、帰るぞ?という刑事さん達を横目に部屋を出るために拝殿の入り口に向かうと丁度蘭ちゃんに連れられて弥琴さんが到着した。
「龍斗君?」
「ちょっと平ちゃんたちを探しにね」
すれ違いざまに出ていく理由を蘭ちゃんに告げて、弥琴さんの登場にざわついた拝殿内と推理ショーを始めた声を背にオレは靴を履き平ちゃんたちを探しに出た。
――
「あれは母さんの…私と二人きりで頑張ってた母さんのお墓なのに…」
「二人っきりやない…」
君恵さんの涙ながらの声を遮ったのはたった今神社についた平ちゃんだ。その姿はぼろぼろだ。
「この命様のカラクリを知っとった奴は他にもおったんとちゃうか?なあ、網元の家で君恵さんが死んだら祭りは今年限りやとぬかしよったそこのジイサンや…」
その言葉に、集まっていた年配の島民は次々と告白していった。曰く、島の若いもの以外は全員知っていた。君恵さんが頑張るなら黙って手助けしていこうという事になったのだと。そう告げて口々に謝罪の言葉を掛ける島民の人を前に彼女は言葉もないようだった。
「そんな、どうして…どうしてもっと早く……」
「君恵さん、人っちゅうのはな…」
そこで一度俺を見た平ちゃん。
「人っちゅうもんはな、たった一人じゃ生きていけへんのや。さっき二人で頑張った言うとったがこんだけの人間が見えないところで手を貸しとったんや。勿論、目に見えて手を貸してくれることと比べたら気づきにくいかもしれへん。でもあんたは気付けたはずなんや。そしてもっと早く、目ぇ覚ますべきやった。不老不死なんちゅう悪い夢から…」
「命には限りがあるから大事なんや。限りがあるから頑張れるんやで…」
その言葉がこの事件の締めくくりとなった。
――
「昨夜の君恵さんの姿を見て分かったわ…電話口で明瞭な返事がなかった時に聞こえていたもの、ありゃあ君恵さんが泣いとったんやな」
「きっと倉の中で沙織さんの遺体を前に泣いてたんだよ…にしてもよくもまあ、無事だったなオマエ?」
「ああ、崖の半分くらいまでは和葉を背負って登ったんやけどな?残りの半分がネズミ返しみたいになっとって崖に張り付いて立ち往生しとっててん。こらもう、根性決めるしかない!って思た時に龍斗が来てな?」
「…ネズミ返しの崖の部分を削り飛ばして顔をのぞかせて手を伸ばしたと」
「あん時はオレもあんな状況なのに目が点になったわ。ま
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