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名探偵と料理人
第四十一話 前編 -そして人魚はいなくなった-
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ー」
「ウチもや」
「ら、蘭ちゃん紅葉ちゃん。ウ、ウチ。ウチあたってもうた」

あ、やっぱり和葉ちゃんの番号だったか。他に当たったっぽいのは…寿美さんか?すっごい喜んでるし。あと一人は分からないな。儒艮の矢は人魚の滝と呼ばれる所で受け渡されるらしく俺達はその滝の前まで移動した。

「永遠の若さや!美貌や!アタシのもんやー!」
「おいおい止めとけ。紅葉のねーちゃんもいうとったやろ?しわしわのばーちゃんになって孫に囲まれるのがええってな」
「んー、紅葉ちゃんの言う事ももっともやと思うけど若いままってのもええやんか。それに矢を手放せば災いでその効力もなくなるやろうし!」
「おーさよけ…」
「あ、さっき話してたけど美貌ってのは本人の資質によると思うよ?和葉ちゃん。だって不老不死と美貌って関係ないし」
「え?あーーーー!?」
「きづいとらんかったんやなやっぱり…」
「あははは……」

っと。そんな話をしていたら君恵さんに呼ばれた。あ、もう一人ってのは奈緒子さんだったのか。あれ?

「おかしいな。あんな喜んでたから」
「ああ、当てたのは寿美さんやと思たけど」
「誰だ?あの酔っぱらいの中年は…」

そう、新ちゃんの言う通り3人目に現れたのは酔っ払いの中年男性だった。その3人に君恵さんは矢を一本一本手渡し、譲渡が終わると滝の傍に用意されていた花火が打ち上げられた。え?

「おい!」
「あれって!?」

滝の方に観客の目線が行き、それに気付いた。滝の流水の合間にその肢体をゆらゆらと揺らせながらつられている寿美さんの姿に。

「お、おい龍斗!?」

俺はその姿を見た瞬間に走り出していた。

「え?」「なに?」「なんだぁ!?」「た、龍斗君?!」

矢の受け渡しの現場にいた君恵さん、奈緒子さん、中年男性、和葉ちゃんの声を無視して滝壺から崖を駆け上がった。前に調べてところ、首つりから10分以内なら蘇生の可能性がある…らしい。心音はもう聞こえないがその一縷の望みをかけて俺は彼女の体を回収し、揺らさないように注意しながら滝口の地面にそっと横たえた…ダメか、首の骨が折れてる。
それから10分たって、崖を登ってきた新ちゃんたち、君恵さん、禄郎さん、奈緒子さんが来た。

「龍斗!彼女は!?」
「ああ…平ちゃん。ダメだったよ。俺が地面に上げた時はまだ温かったから蘇生できると思ったんだけど…首の骨が折れててね」
「そうか…」
「龍斗君が上げた時に温かったってことは彼女は花火が揚がる直前に首をつったってことか……」
「そんな……まさか自殺?でも寿美が何で。それとも誰かに…」
「いや、そうとも限らん」
「え?」

そう言って寿美さんの首に巻きついていた縄について語る禄郎さん。彼が言うにはその縄は滝への転落防止のた
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