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名探偵と料理人
第四十一話 前編 -そして人魚はいなくなった-
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俺達が話しているとさらに新たな沙織さんの幼馴染みが現れた。その彼女、寿美さんが言うには命様は本物で、人魚も存在するのだと言う……3年前の異様な焼死体、か。あれが人魚の死体だって?
更に詳しく話そうとした彼女の後ろから禄郎と呼ばれた男性が止めた。ふむ、確かに島の事故をむやみやたらに外に話そうとするのはあまりいい事ではないか。彼は去り際に沙織さんの家に行ってみろと言ってきた。

「君恵さんも合わせて4人の幼馴染み会うたけど人が一人消えた言うのに心配せーへんのやな」
「ええ…沙織は良くお父さんとけんかして家出してたから」
「じゃあその沙織さんの家に案内してもらうのは……」
「いいですよ、祭り後でなら」

なんでも祭りと言っても命様が示す3つの数字を持っている人に儒艮の矢を進呈するだけらしい。

「なんなら、貴女たちも加わってみる?」
「「「え?」」」
「実は突然のキャンセル分が三枚余っているのよ。まあ、当たるも八卦当たらぬも八卦。もしかしたら皆が言うように永遠の若さと美貌が手に入っちゃうかもよ?」

そう冗談めかして告げた君恵さんは札を紅葉達に渡すと祭りの準備のために神社へと戻って行った。いや、人魚にあやかれるのは不老不死であって美貌は本人の資質によるんじゃ?まあこの3人ならそこは問題ないだろうけども。


「なんかラッキーやったね!」
「そうだねー。それにしてもお祭りのある日に来れるってことがまずラッキーだったよ」
「んー……」
「どうしたの紅葉?」
「いや、よく考えたら別に永遠の若さとかあんま良い事でもないんやないかなって」
「え?」
「ど、どういうことや?」
「だって一本だけしかもらえんし、龍斗がお爺ちゃんになってもウチだけ若いままなんやろ?その頃には子供や孫がいてもおかしゅうない。ウチが不老不死ならみんなを看取っていくのは辛いやんか。そんなら一緒に老いていきたいって、同じ時を生きていくのが幸せやってウチは思ったんよ」
「「……」」



(いや、女子高生の発想じゃねえぞそれ…流石は龍斗君の彼女というか)
「だ、そうやで。龍斗?」
「あ、うん。えっと、うん。そだね?」
(あ、珍しく龍斗が照れてるな)

離れて男女に別れて祭りの始まるのを待っていたが向こうの話し声は聞こえていた。いや、うん。とても嬉しいよ、嬉しいけどね?不意打ちは勘弁してほしいなあ。

「…っと、そろそろ始まるみたいや。さあ、命様って言うのはどんな姿をしとるんかね」
「で、出てきたみたいだね」
「あれが命様か」

そして障子が開けられ出てきたのは…なんといか真っ白な化粧をした小さな老婆だった。彼女は長い松明の先端をかがり火に近づけ火をともしその火で障子に当選番号を書いた…ってあれ?あの番号は。

「外れちゃった
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