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名探偵と料理人
第四十一話 前編 -そして人魚はいなくなった-
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ってねえといいけどな」

顔を突き合わせて小声で話していたが、島に到着するとのアナウンスが聞こえてきたので入島の準備に入った。厄介ごとね。無いといいなあ……


――


「ええ!?門脇沙織さんが行方不明!!?」

いきなり厄介ごとかいな……島についた俺達は依頼人の門脇さんの家を訪ねるために町役場を訪ねると彼女が三日前、平ちゃんの所に手紙が着いた頃から働き先に顔を出さなくなったそうだ。島の人は本土の方へ行ったんじゃないかと思っているらしい。
そして今日は年に一度のお祭り「儒艮祭り」があるらしく、町役場の人たちもその準備があるとのことで彼女が働いていたお土産屋を告げられ追い出されてしまった。
そして、お土産屋では人魚をモチーフにしたお土産が所狭しと並べられていた。そこで、お祭りで貰える儒艮の矢について教えてもらった。なんでも不老長寿のお守りでお祭りで毎回三本配られるそうだ。それを去年当てた沙織さんは一週間ほど前にそれをなくして錯乱していたとのことだ。彼女の幼馴染みという奈緒子と女性が店長のおばさんと話している俺達に、やけに確信した様子で不老長寿について語ってくれた。不老不死の命様の念が込められた髪の毛が結わえられた

「それで彼女の言っていた命様というのは?」
「この祭りの主役であり島の象徴である島袋の大おばあ様ですよ!」
「そんで?その婆さんのホンマの歳は何ぼなんや?」
「さあ。正確な歳はなんとも。島の人間も良くは知らないのよ。ただ、180とも、200とも言われているわね…なんなら祭りの会場になる島の神社に行ってみたらいかかがです?」
「神社?」

なんでも神社には沙織さんの幼馴染みである君恵という女性がくだんの命様と一緒に住んでいるから沙織さんの話も聞けて一石二鳥とのこと。

「はあ…」
「なんやオレらたらいまわしにされてへんか?」

そこは言わないお約束だよ平ちゃん。


――


「明治2年6月24日生まれの145歳!うちの大おばーちゃんの戸籍を調べればはっきりわかります!もう、ちょーっと長生きだからって皆大騒ぎしちゃって」
「ちょ、ちょっとって……」
「随分と長生きなお婆ちゃんやと思うけどなあ」
「せやねぇ」

神社に来てみると巫女服姿の君恵さんに命様の年齢を教えてもらった。はー、145歳。明治2年ってことは1872年、19世紀か。今が21世紀だから3世紀に渡って生きてるとはトリコ世界の住人でもないのにすごいな。彼女には矢が元々「呪禁の矢」で魔よけの物だったとか失踪前の沙織さんの様子を教えてもらった。四日前に君恵さんが歯医者に行く際に同行したらしいが沙織さんはどうやら相当怯えていたらしい。怯えている理由も矢をなくせば災いが訪れると矢を授けられたときに言われたからじゃないかと。

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