番外編1 〜昔語り1〜
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食屋になるまでの20年はこんな感じだったよ。結構はしょったけどまあそこはそこで色々あったのでそこは別の機会ということで」
「龍斗……」
「そんな顔をしないで、紅葉。俺はあの生活のこと、なければよかったなんて思ったことないから。あれがあったから今生きることに全力をぶつかっていけるんだよ」
「…そっか。そやね。ウチが何か言えることやあらへんか。それにしても軽ぅ〜い気持ちできいたらものすっごい重たい話でびっくりやで?」
「まあ、これでも女子高生に聞かせるには悲惨な所は言ってないんだけどね」
「聞きたいような、聞きたないような……でも待ちぃな。龍斗って食べることにスッゴい苦労してたんやんな?その割には残飯とかあんまり気にせえへんように思えるけどなんでなん?」
「聞かなくても、知らなくてもいいことだよ。あと、その事はね。そりゃあ出たもの全てを感謝して食べるのが俺の信条だよ?食材を無駄にするなんて言語道断。…だけどね。その残飯のお陰で俺は生き永らえることができたんだ。だから厳しく行動にとれなくてね。もしかしたらこれで生きている人がいるかも…ってね」
「ああ、そういう考えがあったんやね…」
「うん。…ああ、もうこんな時間だ。そろそろ寝ないとね」
「え?ほんまや、もうおやすみなさいやね。今日はありがとな」
そういって、紅葉は部屋をでていった。その背中に俺は声をかけた。
「ああ、おやすみ紅葉。よい夜を」
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