番外編1 〜昔語り1〜
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果だと気付いた)成長と実なりが異常に速く、養分をしっかりと与えていれば週一で全員が食べられるほどだった。その成功からいくつかの種を持ち帰り栽培するという文化が俺達のグループに生まれた。
そして、1年。リーダーは俺の目の前で黒服に撃たれて連れて行ってしまった。俺は発砲音と崩れ落ちるリーダーを目の前に一歩も動くことができなかった。だけど、お腹を撃たれて激痛が走っているだろうリーダーは黒服の足にしがみつき、目で訴えていた。「逃げろ!」と。…そう、この瞬間から次のリーダーは俺になる。次に弟妹を守るのは俺の役目だという使命感とリーダーの目に後押しされ、俺は黒服から必死に逃げた。子供ならではの逃走経路とそれなりの食糧事情の改善から逃げ足が十分に発揮でき、俺は生き延びることができた。
それから、さらに1年。俺の次に年長の子に、俺が教わってきた全てを継承した。まあ、死ぬつもりなんかはこれっぽっちもなかったけどな。弟妹のためなら死ぬことなんてなんてことないが、ただ死ぬつもりもない。それに生還率を上げるために下半身を鍛えることにした。相手するのは大人。逃げるにも攻撃するにも(腕より足の方が筋力があるしね)下半身が重要だった。
俺がリーダーになってから、俺の家族は30人と俺が経験した中でも最大所帯になっていた。その理由として、食料の安定化となにより貯水ナマコを複数偶然得られたことだろう。このおかげで水の心配が無くなり、さらには農業にも水にまわせるようになった。まあ、水の確保には王都の下水道を使うのでナマコを3秒くらい浸からせ(10Lくらい)吸わせて、2,3日浄化してもらわなければならないけどね。そんなこんなで弟妹達のために邁進していた。リュージに拾われてから10年たったある日。俺の人生を変える2度目の出会いを迎えた。
―
「ほう?こんな荒野の中にある掘っ立て小屋の集落になぜアーモンドキャベツがあるんじゃ?」
「どうやら、浮浪者の子供たちが育てているようですね。会長」
とある日、小屋の中の植物の様子を見ていた俺は外からそんな声が聞こえた。…っち。大人たちが見向きもしないからといって、そして小屋の中だけでは手狭になったからといってやはり外で育てるべきではなかったか。無理をしても外から見えないようにすべきだった……!!
そんな後悔を胸に声の方に急いで走った。幸い、すぐにその場にたどり着きへたれこんでいる子の前に出た。
「大丈夫か!?」
「う、うん……」
「お前は皆の所に行って集落から皆を離れるように伝えろ!…それからこれからはサブリーダーの言う事をしっかり聞くようにな!」
「え、でも……」
「早くいけ!!」
「う、うん!」
良かれと思ってしたことが裏目に出るのはこれで何度目か。相手は二人。見るからに嫌えられていると分
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