第三十三話 -世紀末の魔術師(6/6)-
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た。
新ちゃんがエッグの秘密に気づき、そのからくりを見ることができた。これは…素晴らしいな。作り手の愛情を感じる。その技術も80年以上前の物とは思えない。そして…あれが夏美さんの曾おばあさんか。そして皇帝の家族写真……高速でキッドの心音がはねたのはそういうわけか。
―
「さて。それでは私は青蘭さんを警視庁に連行しますね。龍斗君、君にも一応事情聴取ということで一緒に来てもらえますか?」
「ええ、いいですよ。後ろにスコーピオンを乗せるなら彼女が暴れないように抑える人も必要でしょうしね」
「あ、いや。別にそう言うわけではなくて…」
「分かってますよ、冗談です」
エッグの所有権をロシアが放棄したり、鈴木家のエッグを香坂家に(勝手に渡したり)、戻る途中で薬莢の数と無数の穴にまた夏美さんに泣きつかれて、と色々しながら城にあがってきた。
スコーピオンを白鳥刑事に扮するキッドが警視庁に連れていく事になったのだが、俺もその道中に同行することになった。まあ、拳銃で撃たれたわけだしね。
「それじゃあ、夏美さん。またいつか。これ、俺の連絡先です。勤め先が決まったら連絡くださいね」
「ええ。まさか君に会えるとは思ってなかったわ。今度、パティシエの技を盗みに行かせてもらうわね♪」
「ははは、お手柔らかに」
こうして、俺の夏休みに巻き込まれた事件は終わった。
―
『それで?いつオメーはキッドが白鳥刑事に化けてること気づいたんだよ?』
「ああ、そんなの船で会った時からに決まってるだろ?」
『最初からかよ?だったら、オレにも言っとけよ』
「ごめんごめん。怒涛の三日間で言うタイミングがなくてさ」
『それで?キッドの鳩はいつの間にやら奴の元に戻ったみたいだし、鳩のいた所には「これで貸し借りなしだ」ってあったけどどういう事だよ?』
「ああ、そりゃあ多分。船での博士の電話の事だろうな」
『電話?』
「ああ、奴は船の無線は全部傍受していたそうでな。その際に博士が電話口で新ちゃんの事「新一」っていってたろ?多分そのことさ」
『げ!?じゃあもしかして…』
「…ま、そういうことだろうね。まあ貸しはそれをばらさないことで。借りは言わなくても分かるよね?」
『まーな』
もうすぐ夏休みが終わるというある日、俺は自宅で新ちゃんと電話をしていた。俺と新ちゃんとで持っていない情報のすり合わせをしていたというわけだ。他にも色々な話をした。
『それにしても。気づいているかもしれないけど夏美さんが…』
「ああ、彼女がまさかの末裔とはね。あのメモリーズエッグの画像を見るまでは確信を得られなかったよ」
『城がドイツ風なのも納得だな。でもこれは、詳らかにする必要はないことだぜ?龍斗』
「そうだね。知られる必要のないことだね」
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