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名探偵と料理人
第三十二話 -世紀末の魔術師(5/6)-
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知らないんだ」
「へえ」

新ちゃんと夏美さんの話が聞こえたので床の事を中断して周りの写真を見てみた。…確かに喜一さんの写真はたくさんあるのに一枚もないなんて妙な話だな。

「おい、こいつラスプーチンじゃないか?!」
「へ?ええ、彼に間違いありません!写真にも「ГРаспутин」という彼のサインがありますから」

今度は、乾さんとセルゲイさんの声に皆が反応した。各々が口を開かず部屋の中を探索しているので誰かがしゃべると狭い執務室の中、周りにも聞こえてしまうのだ。

「ねえ、お父さんラスプーチンって?」
「へ!?あ、いやオレも世紀の大悪党だってことくらいしか」
「っ!」

浦思さん?この心音は…怒気?

「ヤツはな、怪僧ラスプーチンと呼ばれ、ロマノフ王朝滅亡の原因を作った男だ。一時は権勢を欲しいがままにしていたが最期は皇帝の親戚筋にあたるユスポフ公爵に殺害されたんだ。川から発見された奴の遺体は頭蓋骨が陥没し、片方の目が潰れていたそうだ…」
「え!?」

片方の目が…ねえ。それにしても浦思さんの心音、乱れすぎだな。これは…そう言う事なのか?
確認のため、俺は以前父さんに聞いた事を話す事にした。

「そう言えば、ラスプーチンといえば。以前父に聞いたところ、「ラスプートン」という占い師がラスプーチンの末裔だったという噂があったそうですよ。権力者に取り入り、一大宗教団体を築いていたそうなんですが総本山が何者かに爆破されてそのまま亡くなったらしいですが…」
「その人物の名前は私も聞いたことがありますね。総本山はロシアにあったので。ですがラスプーチンの子供に公式に残っているもので「ラスプートン」という人物はいなかったので、その人物が占いの結果を信じさせるために出まかせを言っていたのでしょう」
「セルゲイさんも龍斗さんも!今はラスプーチンの話よりもエッグです!」
「しかしなあ、こう広い家からどう探せばいいのか…」

そう言って、小五郎さんはタバコに火をつけた。…それにしても「ラスプーチン」、「末裔」で反応するか。

「夏美さん、何かヒントはないんでしょうか?」
「これといって何も…」

あれ?タバコの煙が揺らいでいる?

「おじさん、そのタバコ貸して!」
「え!?あ、こら!!」

小五郎さんの返事を待たずに手から煙草を奪い周りにかざす新ちゃん。

「下から風が来てる。多分、この下に秘密の地下室があるんだよ!!」
「「「「「え!?」」」」」
「と、するとからくり好きな喜一さんの事だからどこかにスイッチがあるはず…」
「とはいうがなあ。持ち主の夏美さんが知らない入り口なんて…」

そんな風にたしなめる小五郎さんを尻目に床を調査している新ちゃんは床の一部が外れることに気付き、その下からロシア
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