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名探偵と料理人
第三十二話 -世紀末の魔術師(5/6)-
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何をする気じゃ』『決まってるでしょ?』『僕たちが先に宝を見つけるんですよ!』…はあ。子供たちも困ったものだ。流石に裏口なんかは鍵がかかっているだろうし探検の一環にはなるか。
沢部さんの案内で場内を散策する事となった。一階の「騎士の間」、二階の「貴婦人の間」、「皇帝の間」と立派な城にふさわしい内装と美術品の数々だった。

「なぁ、ちょっとトイレに行きたいんだが…」
「トイレでしたら廊下を出て右の奥です」

乾さんがトイレに出て行った。…ん?右じゃなくて左に…この距離はさっきの貴婦人の間に入った?

「おい、龍斗。ここまででなんか気づいたことあるか?」
「え?あ、ああ。いや、ここまでで特に怪しい感じは感じなかったかな。…あれかな、前に聞いた時計の針を回したら隠し扉が開くとか?喜一さんもからくり好きって言ってたし」
「青の古城のか。そうなるとこの広大な城を一つ一つしらみつぶしとなるとかなり骨が折れるぞ…」

新ちゃんの言うとおりだね…『エッグは無さそうだがまあいいか』…乾さんが何かを見つけたな。ったく、これじゃあただの盗人だな。

「新ちゃん、ちょっと俺も「うわああああああ!!!」」
「な、なんだ!!?」

乾さんの上げた悲鳴を聞いた皆は皇帝の間を出て貴婦人の間に急行した。
そこで目にしたのは天井の一部が開きそこから10本以上の紐がついた刀剣が吊り下げられ、その刀剣の切っ先の下で息を切らしている乾さんの姿だった。彼の右手は壁の穴に手かせがつけられ動かせないようだ。…へえ、中には金銀宝石か。これだけでも1000万は下らないんじゃないか?

「こ、こりゃあ一体…」
「81年前、喜一様がお作りになった防犯装置にございます。この城にはこれ以外にもいくつか仕掛けがございますのでご注意ください」

そういって、手かせの鍵を外す沢部さん。なるほどね、喜一さんがもっと残酷な人だったなら刀剣類でぐさりってわけか。

「つまり、抜け駆けが厳禁ってことですよ。装備は懐中電灯くらいでいいでしょう」
「…っち」

キッドは乾さんの鞄から懐中電灯を抜きだし、彼に放り投げた。

「それにしても、本当に…」
「本当にからくりが好きだったんだな、喜一さん。となれば一個ずつ候補を潰していくか。…ねえ沢部さん、この城に地下室って?」
「ございませんが」
「じゃあ、曾おじいさんの部屋は?」
「それでしたら、執務室がございます」

「どうぞ。ここが喜一様の執務室でございます。壁には喜一様のお写真と当時の日常的な情景を撮影した写真を展示しております」

一階にある執務室に通された俺達は思い思いに写真や中の様子を探った。…ん?この床…

「ねえ、夏美さん。曾おばあさんの写真は?」
「それがね、一枚もないの。だから私、曾祖母の顔を
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