第三十二話 -世紀末の魔術師(5/6)-
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翌日、俺達は横須賀にある香坂家の城に向かうことになった。参加者は毛利一家の三人、セルゲイさん、キッド、浦思さん、沢部さん、夏美さん、乾さん、そして俺の10人だ。紅葉は殺人事件に巻き込まれたことをご両親に説明するために京都へと発っていた。一人娘が事件に巻き込まれたとあっては親心としてはひやひやしたものだろうし。俺もそっちについて行こうとしたんだが紅葉本人に止められた。曰く「挨拶に行くのに血なまぐさい事があるやなんて風情がないやろ?挨拶はまたの機会です」とのことだ。
東京から横須賀へ移動を開始した。毛利一家とセルゲイさんはタクシーで。俺は浦思さん、夏美さん、沢部さんと一緒にキッドの運転する…運転する?
「(おい、よく考えればオマエ免許もってるのか!?)」
「(だいじょーぶだいじょーぶ、任せなさい♪)」
くっそ、高速に乗ってから気付くなんて迂闊だった……事故らないか、助手席から注意しておこう。
「青蘭さん。あの寒川さんの指輪、本物だったのかしら。寒川さんは自信満々だったみたいですけど」
「私も、内側に掘られた銘とデザインだけしか見れていませんので確定することはできないのですが。あの時見ただけの判断でいいならおそらく本物じゃないかと思います」
「一応、目暮警部が鑑定に出すと言ってました……私見ですがあの指輪には美術品特有の年月を感じましたね」
……へえ、キッドの目にも本物に見えるってことは本当にマリアの指輪だったのかもな。
「そういえばマリア、というのはどんな人物だったの?私、軽いロシア史しか知らなくて…」
「そうね……マリアはニコライ二世の四人姉妹の三番目で特に優しい人物だったと言われています。ロシア革命の後で皇帝一家は銃殺されたのですが未だにマリアと皇太子の遺体は確認されていないそうなんです」
「へえ…」
「ですが、最近貧困にあえぐロシアに大量の資金を投じて事態を回復させようとしている女性がいらっしゃるんです。実はその方が皇帝の四女、アナスタシアの末裔じゃないかとまことしやかに言われてまして……」
「ええ!?でもマリアと皇太子の遺体以外は見つかっているんでしょ?」
「はい。ですからその噂がただのデマか、もしくは遺体の方が偽物だったんじゃないかと私達ロマノフ王朝研究家の間でも話題になっているんです」
「そうなんですか。でも巨額の資金を投じてロシアを盛り上げようとしているなんてその行動からも末裔って線は捨てきれないかもしれないですね」
「まあ、龍斗さんの言う通りですね。ああ、それとマリアはとても大きな灰色の瞳をしていたそうですよ」
「大きな灰色の…」
「瞳?それって夏美さんと浦思さんと同じですね。もしかして二人とも血縁者だったりして?」
「…まさか。まあ日本では珍しいかも知れないけれど中国にはそれなりいますよ
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