第三十話 -世紀末の魔術師(3/6)-
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って言ってたけど…」
「ええ、20歳でパリに移ったのよ。だからたまに変な日本語が出たり、会話に詰まったりしちゃうのよね」
「海外に長く住んでいる日本人によくあることやねえ」
「あ、妙な日本語といえば子供のころから耳に残っては慣れない日本語があるのよね」
「へえ、なんですか?」
「バルシェ ニクカッタ ベカ」
「「「え?」」」
「『バルシェは肉を買ったかしら?』って意味になると思うんだけどそんな人に心当たりないのよね」
「子供の頃ってことは夏美さんのお祖母さんから教わったんやろか?北海道にでも縁がおありなんです?」
「いいえ。でも何故?」
「『べか』って、北海道弁で『〜だろうか』って意味なんです。だから北海道に関係すことことなんやないかと」
「へえ、べかって北海道弁なんだ!」
「知らなかったー。紅葉ちゃん物知りだね」
紅葉に言う通り、夏美さんのお祖母さんからの言葉を日本語と間違えて覚えたとするとロシア語か?確か、「века」って「世紀の」だっけか?『世紀のバルシェさんは肉を買った』『世紀のバルシェさんは憎かった』…バルシェニクカッタってなんだ…?うーん…
俺がロシア語であーでもないこーでもないと思考を巡らせていると新ちゃんは夏美さんを見上げて何かに気付いたようだ。
「あれ?夏美さんの瞳って…」
「そう、灰色のなのよ。母も祖母も同じ色で。多分、曾祖母のを受け継いだんたと思う」
確かに夏美さんの瞳は灰色だ。初めて会ったときにその灰色が印象深かったのが覚えている。
「そういえば、青蘭さんの瞳も灰色じゃない?」
「「「「え?」」」」
蘭ちゃんのその言葉に皆が浦思さんの瞳を見る。確かに言われてみれば…
「ほんとだ、中国の人も灰色なのかな?」
「あの。青蘭さんって青い蘭って書くんですよね。私の名前も蘭なんです」
「「せいらん」は日本語読みで本当は「チンラン」といいます」
「チンラン?」
「はい、青はチン、蘭はラン。浦思は「プース」、合わせてプースチンラン、です」
「へえ、蘭は中国語でも「ラン」なんですね!」
「ええ、毛利は「マオリ」」
「じゃあ私はマオリランか、なんか可愛くていいな」
「じゃあじゃあ、私は?」
「鈴木園子さんは「リンムゥユィアンツー」」
「りんむう…?」
「なあ龍斗。ウチは分かる?」
「紅葉は「ダーガンホンイェ」。因みに俺は「フェイヨンロンドウ」、コナン君は「ジィアンフーチュァンコナン」。夏美さんは「シィアンバンシァメイ」かな」
そして工藤新一は「ゴントンシンイー」。蘭ちゃんに次いで日本語に似通った感じがある音だね。
「…あのう、青蘭さんって私と同い年くらいだと思うんですけど」
「はい、27です」
「やっぱり!何月生まれ?」
「5月です、5月5日…」
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