第三十話 -世紀末の魔術師(3/6)-
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祖母がずっと管理していたんです」
「じゃあ、あれって香坂家のお城だったんだ」
「夏美さん。2つのエッグを作ったのは貴方のひいおじいさんなんじゃないでしょうか?」
「え?」
「あなたのひいおじいさんはロシア革命の後で夫人とともに自分の作った2つのエッグを日本に持ち帰り、2つ目のエッグについていた宝石のいくつかを売り横須賀に城を建てた。そして2個目のエッグをその城のどこかに隠し、そのありかのヒントを子孫に残すため1つ目のエッグに魔鏡をつけた」
「あの…実は図面と一緒にこの古い鍵も出てきたんですが、これも何か?」
そういって夏美さんは女性が持つには不釣り合いな大きな古い鍵を取り出した。
「それだ!それこそ2つ目のエッグへの鍵ですよ!」
「宝石の付いた幻のエッグ…」
「もし、それが見つかれば10億、いや15億以上の値打ちがあるぜ」
(だからキッドが狙ったのか?いや、奴がそんなことで狙うか…?)
「あの、毛利さん。東京へ戻ったら一緒にお城に行ってもらえませんか?」
「いいですとも!」
小五郎さんが夏美さんの問いに快諾するとエッグ関係で集まった人たちも次々と口を開いた。
「私も同行させてください!」
「俺も!」
「オレも、ビデオに撮らせてくれ!」
「私も是非!!」
「はい、皆さんで一緒に行きましょう!」
おいおい、全員がっつきすぎだろうに…ん?なんだ紅葉?
「なあ龍斗。皆さんわかっとるんやろか。もう一つのエッグが見つかってもその所有権は…」
「お城の中の物は香坂家の物。見つかっても夏美さんの物なんだけどねえ。見つけた時に1人なら皆ネコババしそうだね」
「せやねぇ」
周りに聞こえないような小声でやり取りをしているといつの間にやら一旦お開きの流れになり各自部屋に戻った。
今回は鈴木家のゲストとしての乗船なので部屋はかなり豪華だった。普段はこういう船に乗る時は大体スタッフとして乗るから新鮮だな。そして…
「へえ。内装も綺麗やし、流石は鈴木財閥やねえ。…あキッチンもついとる。龍斗―、何か作ってくれたりしません?」
悪戯そうな笑みを浮かべながらそう言ってくる紅葉。そう、紅葉も同室なのだ。史郎さんは最初別々の部屋を用意すると言ってくれていたのだが「龍斗とは1つ屋根の下に住んでいますしウチも龍斗と同じ部屋で構いません。お願いします鈴木会長」との、紅葉の直談判によって同室となった。
「そうだねえ。じゃあカヌレでも作ろうか。出来上がる頃にはティータイムにちょうどいい時間になるように調整するよ」
「そんなら、皆も呼んでええ?夏美さん、パティシエールらしいし話も合うんやない?」
「あー、うん。それはいいよ。じゃあ多めに作るね」
そう言って俺は倉庫と化している裏のチャンネルに常備している食材
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