第二十七話 -黒の組織との再会-
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るけどその顔は…
「おい、そろそろ龍斗…にいちゃんが言っていた時間だ」
「そうじゃの。この時間のワイドショーといっとったな。…最初は呑口議員殺害のニュースじゃな」
彼の言っていたワイドショーを見ていたけれど内容は現職議員の殺害についてばかりだった。
「おいおい、もう20分経っちまったぞ。この番組って確か1時間番組だろ?」
「確かにそうじゃのう。上手くいかんかったってことなのかの?」
「……」
「えっと、どうしたの?夏さん。顔色が悪くなってるわ」
「え?い、いやなんでもないわ…ないよ。…ちょっと用事を思い出したから龍斗君の家に帰らせてもらうね。器はそのままにしておいていいよ。夜に取りに来るから」
「え?あ、ちょっと」
彼はそう言ってこちらの返答を待たずに帰って行ってしまった。なんだっていうの?
『さて、次は…こちらもとんでもない映像がたった今入ってまいりました。かなり衝撃的な映像になっています』
ん?次の話題になったわね。これかしら、彼が言っていたのは…これって!
―
テレビに映ったのはどこかの鉄道の中のようだった。
『ご乗車の皆様、今日は冬名山行き○○鉄道のご利用ありがとうございます。当列車は今、河床からの高さが100.4mと日本一の高さにある鉄道橋にさしかかっております。窓の外をご覧ください。山は見事に雪化粧をまとっております。そしてそのまま視線を下を…どうですか!冬名山を源流とする冬名川の上流にあたる下の河は冬になっても白波を立たせるほどの急流となっております。事実、急流釣りをしていた釣り客が川に流されて亡くなるという事故が毎年起きています。…それでは5分間橋の上で停止いたしますのでこの壮大な景色をご堪能ください』
テレビの下にテロップが流れる。
―ここは群馬県にある○○鉄道の列車内、動画を撮影したのはこの日デートのために乗った若いカップルの男性だった―
「動画内では、添乗員の説明の後思い思いにカメラを回したり会話を楽しむ様子が映っています。そして事件が起きたのは列車停車して3分ほど経ってからでした」
アナウンサーがそう告げた。動画の続きはカップルのやり取りを映していた。
『ねえ、ねえすごい綺麗な景色ね!それに100m上から見ても分かるくらい川の流れが激しいわよ!!』
『ああ、添乗員さんが言ってたけどありゃあひとたまりもねーぜ』
『あら?本当にそうかしら。試してみましょうか?』
『はあ?』
声をかけてきたのは女性だった。カメラをそちらに向けると帽子をかぶった20歳前後の茶髪の女性がいた。
―20歳前後の茶髪の女性。その左頬には大きめのガーゼがはられている―
『この高さから飛び降りてあの急流で生き残る…そんなこと奇跡でも起きないとね。
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