第二十七話 -黒の組織との再会-
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型をしていた。
先に仕掛けたのは龍麻だった。彼は構えたまま体勢を崩さずに一瞬きの間に5mと言う間を詰め右拳を打ち下ろす。それに対し、龍斗は顔を傾け拳をすかし、伸びた父親の右肘に自身の左肘を打ち上げた。左肘と右肘が激突し、しかし龍麻はその力を逃すため肩の力を抜いたため右腕が跳ね上げられた。がら空きなった右脇に右手正拳を撃とうとした龍斗が何かに気付き手を止め後ろに距離を取る。その距離は目算3m。先ほどの龍麻の動きを見るに一瞬で付けられる距離だが彼は追撃はしなかった。なぜなら右腕が上方へ跳ね上げられたと同時に左膝を子の顎めがけてはなっていた。もし龍斗が距離を取っていなければ両手の間をすり抜けて子の顎にクリーンヒットしていたであろう。
一度距離を取った龍斗だったが間髪入れずに再び龍麻へと肉薄した。左膝蹴りから前蹴りに切り替えそれを迎撃する龍麻だったが、前蹴りがヒットする直前一瞬進むベクトルを後ろに変えた龍斗は子供の小柄な体をうまく利用し前蹴りを下に潜り込んだ。その体制は地面とほぼ水平で体と地面は数cmしか離れていない。龍斗は両手を前に伸ばし道場の床につくとそのまま指を板にめり込ませ手を軸に半回転し両足を龍麻の軸足になっている右足に両足を叩きつけた。子供が蹴りつけたとは思えない鈍い音を響かせながらも龍麻の足はびくともしていなかった。それどころか左足が龍斗に向かって降りてきた。龍斗は足をぶつけた反動を利用し龍麻の右側へと逃がれた。
「……父さん、道場を傷つけるようなのはダメなんじゃないの?右足の指が道場の床に食い込んでるし左足のかかともめり込んでるよ?」
「それを言うなら龍斗、君の両手で抉り取った床はどういう事なのかな?…こら、目をそむけない」
そう、軸足に蹴りつけれても微動だにしなかったのは床に足の指が食い込むほど力を込めて迎撃したというシンプルな理由だった。
親子は修行が終わったらちゃんと直そうという会話を行った後さらに修行を続けた。
―
「んー、懐かしい。でもまだまだ未熟だねえ。どうだった二人とも?」
「「……」」
結局ビデオは1時間ほどの修行風景を写したものだった。序盤から30分くらいまでは床に足を付けていたんだが、だんだん床と壁を使うことになり終盤はほぼビデオに姿は映らなくなり、天井も使った縦横無尽な動きになっていた。
夏さんはともかく紅葉は所々早すぎて見えなかったらしくスローだったり解説したり(夏さんも終盤は見えなかったらしい)していたらすでに0時を少し回っていた。
「な、なんというか龍斗は知っとったけど龍麻さんも大概おかしいんやね。知らんかったわ」
「一応緋勇家は京都の裏の守護役の一族だからあれくらいはね。紅葉のお父さんあたりは多分知ってると思うよ。なんたって京都の代々続く名家の当主だからね」
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