第二十六話 -二十年目の殺意 シンフォニー号連続殺人事件-
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「そうだな、スタッフに頼んでその荷物を救命ボートにでものせて放逐するしかないか」
「その作業は俺が。それともう一つ」
「つ、次はなんや」
「この主催者の名前。古川大ってひと。時計回りに90°回転させてみるとどうなる?」
「どうって…!!」
「か、叶才三になるやんか!」
「そう、叶才三になるんだ。多分、乗客の皆がそれに気付いて乗ってきてると思うよ」
俺が思い出したのは叶才三の名前の由来、そして主要登場人物が20年前の4億円強奪事件に何らかの関与をしていることだった。
「とにかく。情報あんがとさん。オレはスタッフに用事あるから一度船内に戻るで!ほな、この時計直しといて!」
そういって俺に黒焦げの時計を投げてきた。
「おいおい、いくら龍斗でも黒焦げの時計を修理なんてできないぞ」
「ちゃうちゃう、元の場所に戻しておいてくれっていうこっちゃ」
「了解したよ」
そういって平ちゃんは船内に戻って行った。俺は時計を新ちゃんに預け海老名さんの鞄を持ってきた。部屋には鍵が閉まっていたがそこは裏のチャンネルを経由して侵入した。船尾のデッキに戻ってくると新ちゃんはさっきの言葉から情報を収集するつもりかイヤリング型携帯電話で博士に連絡を取っているようだった。丁度博士は4億円強奪事件の特番を見ていたらしく新ちゃんに有益な情報をくれたようだった。…鮫崎さんの娘さんが事件時殺されたのか…あ、時計は戻しておいてくれたのね。
「ん?新ちゃん。なんか手すりに」
「なんだ?龍斗。…これは!?」
俺は救命ボートに鞄をのせて海に放逐する作業を進めていた。船尾の手すりに紐を括り付けている最中に気になる焦げ跡を見つけた。新ちゃんにそれを伝えると少し考えた後ドヤ顔をしていた。
「なるほどな。これならその場にいなくても…ナイスアシストだぜ龍斗」
そういって、隠れ場所を探すためか船内に戻って行った。
―
「いい隠れ場所?」
「ホラ。いつもは入っちゃいけないところとか普段は絶対人が立ち入らないところとか…いってええ!」
「まったく!殺人犯がいるっていうのにうろちょうろうろちょろしやがって!って龍斗君もいたのか」
「え、ええ。まあこの子がうろちょろするのは目に見えていたので一応お目付け役としてね」
「そりゃ悪いな。…おい、ちゃんと龍斗君にお礼を言っておくんだぞ!」
「えっと、ありがとうね龍斗にいちゃん」
スタッフの人に船内に隠れられる場所を聞いて回っていると小五郎さんに拳骨を食らってた。普通に考えたら小1がこんな状況で動き回るのは邪魔でしかないからなあ。危ないし。
「あれ、服部君は?」
「え、会わなかったの?」
「おかしいね、確か平ちゃんスタッフに用事があるって船内に戻ったはずだけど」
―
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