春の訪れは揚げ油の香りと共に?・その1
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り除く」
「取り除かないとどうなるんだ?」
「筋は揚げると硬くなって食べにくくなるし、余分な脂は唐揚げをくどくしちまう」
「成る程、美味い唐揚げを作るには欠かせないな」
まぁ、そういう事だ。筋や脂を取り除いたら、食べやすい大きさに切って醤油、酒、生姜、ニンニクと一緒に揉み込む。揉み込んだら味を染み込ませる為に20分程寝かせておく。
「……あ、唐揚げだけじゃあ飲むにしても栄養バランスがアレだな。簡単なサラダも教えとくか」
教えるのは刻んで混ぜるだけのコールスローサラダだ。某フライドチキンチェーンでもセットの付け合わせに選ばれる位だから、唐揚げとの相性も良いぞ。
《味付けが決め手のコールスローサラダ!》※分量2人前
・キャベツ:1/4個
・セロリ:1本
・玉ねぎ:1/4個
・ニンジン:1/2本
・マヨネーズ:大さじ5
・粒マスタード:小さじ1
・塩:適量
・酢:適量
・砂糖:2つまみ
・黒胡椒:少々
「うっし、玉ねぎとセロリは皮剥いてから野菜は全部みじん切りにしてくれ」
「こうか?」
那智はあまり料理をしないと聞いていたが、中々どうして包丁の扱いが上手い。リズミカルに野菜をみじん切りにしていく。
「お、結構上手いじゃねぇか」
「姉妹で暮らしていた時には、皆で分担して料理をしたりしていたからな。ある程度の下拵えは出来る」
今は妙高と足柄は鎮守府の艦娘寮を離れて、それぞれの家族と暮らしてるからな。今は那智と羽黒の2人になったんだから、部屋の中の騒々しさも半減だろう。
「……寂しいか?」
調味料をボウルで混ぜ合わせつつ、然り気無く尋ねてみる。
「まさか。自分の寂しさよりも姉妹の幸せを願える程度には大人のつもりだぞ?私は」
那智は刻んだ玉ねぎを水にさらしつつ、苦笑してみせた。
「ただ……羽黒と2人になってしまった食卓を囲んでいると、4人部屋だった頃がふと懐かしく感じる時もある」
「……そろそろ肉も良い具合だな。衣付けて揚げてくぞ」
失敗した、しんみりしちまったじゃねぇか。
「下味を付けた肉に、卵白を絡ませてやる。そうしてから粉をまぶす」
「何故卵白を絡ませるんだ?」
「卵白を絡ませてから粉をまぶすと、揚げた時に衣がパリッと仕上がるんだ。俺としちゃあ衣がパリッとした方が好きなんでな」
唐揚げの衣って奴は、まぶす粉を変えたり一手間加える事で様々に変化する。俺が一番好きなのは、食べた瞬間にパリッと歯応えのある衣だ。その理想の食感を出せるのが揚げる寸前に卵白を絡ませ、粉は薄力粉と片栗粉を1:1で混ぜ合わせた物が今の所は俺の理想的な唐揚げの食感を出せる。
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