春の訪れは揚げ油の香りと共に?・その1
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喰らってる気がしてたんだろうな、ウン。
「そうしたら彼はな、『お姉さん美人なんだから、自分を卑下しちゃダメっすよ?』と優しく言ってくれてな?」
その様子を語る那智の顔は真っ赤だったが、明らかに酒に酔って顔を赤らめている感じではない。頬を両手で抑えて、いやんいやんと身体を左右に捻っている。この干物女、一丁前にノロケてやがる。
「『じゃあお前が貰ってくれよぉ』って言ったら、『え、いいっすよ?』と言われたらしくてな?そのままケータイの番号交換して、付き合いが始まったのだ」
「「いやいやいやいや、大分おかしい」」
らしい、と断定ではないのは酔っ払っていてその日の記憶がなく、後から彼に聞いたらしい。それにしたって無防備過ぎやしねぇか?
「最初は私も疑ったさ。でも、姉さんの家まで送って貰った翌朝に早速電話が来たんだ。『昨日は大丈夫でしたか?』とな」
何となく口調でチャラ男っぽさが拭えないが、そういうフォローが出来るのは良いところだな、確かに。
「そして、何度かバーで杯を酌み交わしてな。『彼の隣がすごく居心地が良い事』に気付いたんだ。まるで、妙高姉さんや足柄、羽黒……姉妹の隣に居る時のようだった」
「ははぁ……それで、付き合いが始まったと」
「そ、そういう事になるな。それで今度、彼の家に……その、『お泊まり』する事になったのだ」
おぉっと、こいつはアレか。そういう『一線を超えちゃう』的な話の流れの奴か。初々しくていいねぇ、オジサン眩しいよ……なんつって。
「それで、彼に何か料理を作ってあげようと思ってな?何が食べたいか聞いたら……」
「唐揚げ、だったわけか」
コクコクと頷く那智。まぁ、唐揚げ嫌いって奴はあんまりお目にかかった事はねぇからな。
「うっし、部下の初恋の為だ。協力してやるよ」
「ほ、本当か!?」
「但し、練習に使った材料費はお前持ちだからな?」
店内に居た他の客にも、那智の唐揚げ作りの特訓に付き合ってもらうとしよう。勿論、食べる方でな。那智の作った唐揚げをサービスで振る舞うと告げると、店内から歓声が挙がる。唐揚げは飯のおかずにもなるし、酒の肴にゃもってこいだからな。
「さてと。那智、厨房に入ってこい。まずは基本の醤油味の唐揚げからいくぞ」
《我が家の唐揚げ・基本レシピ》※分量2人前
・鶏モモ肉:1枚(300g前後)
・醤油:大さじ1
・酒:大さじ1
・生姜(すり下ろし):小さじ1/2
・ニンニク(すり下ろし):小さじ1/2
・卵白:Lサイズ1個分
・薄力粉:大さじ1
・片栗粉:大さじ1
・揚げ油:適量
「まずは鶏肉の下拵えだ。モモ肉の筋や余分な脂を取
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