30 犯人の分かりやすいミステリー小説は、なかなかに面白くない。
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戦っていると、万斉に肩を叩かれた。
_「零杏、」
刀を合わせながらの会話になった。
_「万斉殿!」
_「ケガはないか?」
_「あなた方のせいでスゴくケガしましたわ、
晋助に、慰謝料を請求するから、覚悟なさい、って伝えてくれるかしら?もちろん、着払いで。」
剣を面に振り上げる。
もちろん、阻止された。
_「あァ。もちろん伝えておくでござる。」
_「頼んだわ、万斉殿。
もうお行きになるんでしょう?」
_「…零杏殿には敵わぬでござる。
全てお見通しでござったか。」
_「ええ。今回の件は、最初から怪しい箇所が多すぎましたわ。鍛冶屋といい、伊東殿といい。裏で鬼兵隊が動いているのではないか、と簡単に推測できてしまいましたもの。」
_「そうか、では晋助に伝えておくでござる。」
_「頼んだわ、」
と言ったところで、万斉に逃げられた。
そのあとはとにかく、戦い続けた。
明け方、夜が白み始めた時にやっと、戦いは終結した。鬼兵隊、真選組のどちらもたくさんの死者を出したらしい。
今は、伊東と副長の最後の因縁対決をするべく、隊士たちが円陣を組んでいるところだ。
私は、銀時たちの近くに立っている。
_「そうさ、放っといたってヤツはもう死ぬ。
だからこそ…だからこそ、斬らなきゃならねェ。」
放り出された、伊東。
_「立て、伊東。決着着けようじゃねェか。」
と、土方。
銀時を見ると、銀時は言った。
_「アイツら、ヤツを薄汚ねェ裏切り者のまんま、死なせたくねェんだよ。
最期は、武士として。仲間として。
ヤツを死なせてやりてェんだよ。」
そうだな。
私にもいつか、あんな風に送り出してもらえる日か、
来るのだろうか…。
_ 土方ァァァッ/伊東ゥゥゥッ !
伊東は片腕がない。
当然勝ち目はなかったが、最期は仲間に死出の旅への引導を渡してもらえて、幸せだっただろう。
_「や、…っと…あり…がと…」
そう言い残して、伊東の遺体は地に伏した。
私たちは残って、彼の弔いをするため、
銀時たちは先に帰ることになった。
_「じゃあな、零杏。達者でな、」
神楽ちゃんは、名残惜しそうだ。
_「澪ちゃん、またネ…。」
_「新八くんも。またいつか。:)」
と言って、お別れしてきた。
伊東の弔いがすんでから、
私たちは屯所に戻った。
だが私は、高杉の船に向かった。
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