29 たまには馬鹿力も役に立つものだ。
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ふと、晋助と伊東の会合の話が頭をよぎった。
サボっていたが、さすがにマズイかと戻ってきたときに聞いたものだ。
船からボソボソと話し声が聞こえる。
_「天才とはいつも孤独なものだ。
僕には理解者がいない。僕はこんなところで燻っているような男ではない。誰もそれを理解できない。
誰も僕の真の価値に気が付かない。
ならば自らで己が器を天下に示すしかない。真選組を我が物にする。
それを地盤に僕は天下に躍進する。
この伊東鴨太郎が生きた証を天下に、人々の心に刻み込んでみせる。」
と、伊東。
_「悪名でもかまわねェとォ?
そのためなら、恩を受けた近藤を消すことも厭わねェとォ?」
と、晋助。
_「恩?恩ならば近藤の方にあるはずだ。あのような無能な男の下に僕が支えてやったのだ。感謝こそされど、不満を言われる覚えはない。」
なんて自己顕示欲の強いヤツなんだッ!?
_「伊東よォ、お前、自分以外の人間はみんなバカだと思っている口だろう?だが、そのバカな連中に理解されるのを不満に思っている。理解されたいと思っている。自分を見てもらいたい、と思っている。己が器を知らしめたい?そんな大層なもんじゃァ、あるめェよォ。お前はただ、一人だっただけだろう?お前が求めているのはァ、自分を認めてくれる理解者なんかじゃねェ。お前が欲しいものは…
自分を認めてくれる仲間、だ。」
そうなのかもしれない。
私にはその「仲間」がいた。
だから私はここまで来た。
胸の奥が締め付けられる。
彼はきっと、幼い頃に両親に認めてもらえなかったんだろう。誰かに認めてほしくて、誰かに愛されたくて、
そのために、ここまでのことをやらかしたしまったんだろう。
だが、時すでに遅かった。
列車がすごい音を立てた。
急いでそちらに向かう。
着いたときには、皆が伊東を引っ張っている体制だった。近くにパトカーを止めて、全速力で走ってきたので、息切れがすごい。
今は近藤が話をしていた。
_「すまねェ。オラァ、アンタの上に立つには足らねェ大将だった。
元々ガラじゃねェんだよ、大将なんてオラァ。アンタの方がよっぽど大将に向いてらァ。…オレは、隊士が死んでいくのを黙って見てるなんざ、できねェよ。死兵なんて割りきることはできねェ。やっぱり、先生ィ。オラァ、兵隊なんかじゃねェ。ただ肩付き合わせて、酒を酌み交わす友達として、アンタにいて欲しかったんだ。
まだまだアンタにたくさん、いろんな事を教えて欲しかったんだ、先生ィ。」
イイトコロでホントに申し訳ないが、
口を挟む。
_「ただいま、…零杏参りまし
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