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東方死人録
一章 薬師とか穢れとか
二話 人恋しいんだけど、いやマジで
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に向かっていた化け物たちが木っ端微塵になった。
思わず目を見開く。舞い散る異形の血がスローで地面に落ちていく。弾けるその獣の体がそのまま生命を感じさせる。






これ私がやったの?






そこで思考の速度が戻る。気づいたときには辺り一面は血の海だった。運良く湖までそれは到達してないらしい。湖面は綺麗なままだ。
…なんて今はどうでもいいか。そんな凄惨な光景に対し私は全く持って無傷。更に言えば着ている白ワンピースに血一つも付いていない。どこまでも真っ白な少女のままだった。
真っ赤な地面との対比がやけにに強調して感じられる。







 数時間は呆けて居ただろうか。空はとっくにオレンジ色で一部が暗く染まり始めていた。
ようやく私は衝撃から立ち直った。何回目かわからないけど状況を整理しよう。
まず私が何をしたか。その疑問は瞬時に答えが出た。頭に急に次の言葉が浮かんできたのだ。
「あらゆる大きさと向きを操る程度の能力」
ナニコレ。一方○行かな?いや大きさ操れるから上位互換か…。そしてあらゆるって言うところが非常に臭い。
何故こんな力を持っているのか謎だ。ただの人である私にはありあまり過ぎる力な気がする。しかし、恐らく転生のせいなのだろう。要はこの能力を使って生きていけって事だろう。
 次にあの声は一体何なのか。それについては何となく見当が付いた。まだ予想の範囲だけども、きっと私をこの世界に送った神何かだろう。
まあいいや気にしても仕方がない、か。
もう疲れた。今日一日だけで処理しなきゃいけない情報が多すぎた。
「今夜はどうしようかなぁ…」
寝床を探そう。







 あれから数年間歩き続けた。随分いきなりだと思われるかもしれないがしょうがない。なにせ特に語ることが無かった。能力を駆使して木から紐を作りハンモックみたいな寝床を作ってみたりした。お腹は余り減らないがそこらにいる獣を介錯して調理もしたりした。異形のものを山ほど始末したりもした。お陰でこの能力の事が使い方が大分わかるようになった。あとは何故か一向に少女の状態から容姿が変わらないこともわかった。
が、それだけである。
それ以外に言語を話すものには会わなかったし、その痕跡も見つから無かった。見たことのない生物などは興味をそそられたが、それも一か月もすれば見飽きた。どうしようもなく何もない日々を過ごしていた。それはもう生きているのか死んでいるのか怪しい位。
しかし今日ついに森を抜けた。そして私は喜びに包まれた。
そこには村があった。周りは木の塀で囲まれていて、弓っぽいものをもった、おそらくは兵士が門らしきものを挟んで立っている。遠い昔歴史の教科書で見たような集落の姿。
つまり…
「人が居る!!!」

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