第31話 ボース地方での災難
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ラン『アンテローゼ』で食事をしていた。因みに彼とは嫌々だが自己紹介を済ませてあるので互いの名前を知っている。
「おやリート君、食事が進んでないけどもしかして口に合わなかった?」
「いえ食事は美味しいんですが……オリビエさん、本当に大丈夫なんですか?ここ如何にも高そうなお店ですけど?」
「大丈夫さ、路銀は大目に持ってきたからね。それに万が一ミラが足りなくなったらこれの出番さ」
オリビエさんはそう言ってどこからかリュートを取り出した。
「オリビエさんは演奏家なんですか?」
「まあそんな所かな?どちらかといえばピアノの方が得意なんだけど……今度機会が会ったら聞かせてあげるよ、勿論二人っきりでね」
「謹んでお断りさせていただきます」
「つれないねえ……でもそんな所も嫌いじゃないよ」
……フィー、お兄ちゃん本当に貞操の危機かもしれない……助けてくれ……
「う〜ん、困りましたね……」
ふと誰かの声が聞こえたのでそちらを見てみるとこのレストランの支配人らしき人が大きなグランドピアノの前で首を傾げていた。
「何かあったんでしょうか?」
「う〜む……良し、何があったか聞いてみよう」
「あっ、オリビエさん!?」
オリビエさんは俺が止める間もなく支配人さんの所に向かった。
「失礼、ちょっといいかな?」
「おや、お客様。いかがなされましたか?なにか料理に問題でもありましたか?」
「いや料理は満足させてもらっているよ。何かお困りのようだったからつい声をかけてしまったのさ」
「さようでございましたか、しかしこのような事をお客様に話すのも……」
「もしかしてそこのグランドピアノに関係がある事なのかな?」
オリビエさんは支配人さんの傍にあるグランドピアノを見てそれに関係がある事なのか訪ねた。
「僕は演奏家でもあるからもしかしたら力になれるかもしれない」
「さようでございますか?……実は当レストランにはこのグランドピアノがあるのですがピアノを弾く者が長らくおりませんでした。そこでエレボニア帝国からピアニストを呼んで今日お披露目しようと思っていた矢先に定期船は停止してしまいピアニストの方がこれなくなってしまったんです。今日はそれを目当てに来ているお客様も多くこのままでは……」
「なるほど、それなら僕に弾かせてもらえないだろうか?ピアノなら一番得意なんだ」
「よろしいのですか?」
「ああ、任せてほしい。最高の一曲を披露しよう」
オリビエさんはそう言ってピアノに座り演奏を始める。
「おや、これは……」
「素敵な曲ね……」
……なるほど、演奏家というだけあってオリビエさんの演奏はかなりのものだ。食事をしていたほとんど
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