第四十九話 安くったって良いじゃない、水着回なんだから
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「後はシチュエーションに合わせて適当に遊んでいただくだけで勝手に撮影しますので、ご自由にどうぞ」
そう言って担当さんは部屋から出て行く。担当さんが出て行った扉が閉まると、完全に風景と同化してしまったので扉があることが全く分からない。ってか、この状態では下手すると、走ってていきなり壁に当たるとかそういう事があるかもしれない。
「あれは、自然体っていうのかしらね……」
「いや、わざわざポーズ決めてるし、自然体じゃ無いでしょ」
ビーチパラソルの下で寝そべりながらポーズを取りまくっている婚后さんを見て、御坂さんが呟いたのを聞いて俺が答える。カメラマンこそ居ないが、完全にカメラマンが居る前提でポーズを取っているようにしか見えないのだ。
「さあ、お姉様。私達も負けては居られませんの。サンオイルの塗りあいっこをしましょう」
「なっ、アンタはまたそれかっ!」
急に後ろから白井さんが現れると、御坂さんと追いかけっこを始めてしまった。まあ、写真なら音声が入るわけでもないし、楽しく追いかけっこをしているように見えなくも……無いとは言えないか……。
「あれはあれで見事なまでに自然体ね」
「こんなに早く自然体になれるなんて、さすが御坂さんです」
御坂さん達を眺めながら固法さんが呟くと、湾内さんが感心したように褒めるが何だか微妙にずれている気がする。
「まー、自然体って言えば確かに自然体だけど、あれってメーカーが求めてる自然体とは違うよね」
「私達も負けずに自然体で行きましょう」
「そうですね」
俺は疑問を呈するが、佐天さんと初春さんは全く気にすること無く遊び始め、他の人たちもそれぞれ動き始めてしまった。
「それじゃー、ウチは泳ぎますか」
どうやら皆浜辺で遊ぶようで、泳ぐ人が居なさそうだったので俺は泳ぐことにして、その為の小道具を探した。一応、シュノーケルとか浮き輪などが用意してあり、浮き輪には既に空気も入れてあったので一つ取って海へと掛けだした。
「折角だし目一杯楽しまないとねー。冷たっ!」
浮き輪を投げてそのまま海に飛び込もうかと思ったが、足だけ水につかった時点で結構な冷たさに思わず浮き輪を回収して浜に上がる。
「こんな再現度だとは思わなかった……」
思わず呟いて準備運動を始める。海を再現しているとは言え、プールぐらいの温度しか想定していなかったので、本当の海みたいな冷たさには驚いた。
少々念入りに準備運動をした後、浮き輪は置いたままで海に入り体を海の冷たさに慣らす。浮き輪に体を通して泳ぎ始めると水が冷たくて気持ちよかった。
「まるでプライベートビーチだね」
今の時期、普通にこれだけの浜辺があれば絶対海水浴客でごっ
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