26 緊急時には、一瞬の判断の迷いが命取りとなる。
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先輩、と駆け寄ろうとすると、
後ろに気配を感じた。
案の定、伊東だった。
だが、山崎は腹を突かれている。
_「おやおや、久坂くんじゃないか。
こんなところで何をしているんだね。
山崎くん。君たちのように斬り合いばかりじゃ、世の中は変わらん。もっと利口にならねば。いくら剣を振るったところで犯罪は撲滅できやしない。もっと言えば、彼らがいなければ僕ら警察も必要なくなってしまうことを忘れてはいけない。僕らはもっと互いにうまく付き合っていけるはずなんだ。双方の利潤を満たし、均衡を保つパートナーとして。君の上司のようなやり方では真選組はこれ以上強くはならん。僕の手によって、真選組は生まれ変わるんだ。もっと強くて、もっと大きく、そうしてこの伊東鴨太郎が器を天下に示すための、方舟となってもらう。」
私には何もできなかった。
_「 フン)
やりたきゃ、やりなよ。
だが、一つ言っとく。アンタがどれほどの器の持ち主か、なんて、学の無いオレたちには分からんよ。だが、士道も節操も持ち合わせない空っぽな器になんて誰もついていかんよ。
オレは、あの人ちについていかせてもらうわ。最期…まで…」
_「先輩ィィィッ!
伊東…そなた…ッ!」
_「 フフン)
死ぬ最期の時までヤツらに知らせようと前進する。
それが監察である君の士道だと?万斉殿、あとは頼む。君には、攘夷浪士と戦い、討ち死にした名誉の殉死を与えよう。よかったな、君らの大好きな『士道』、とやらが通せるんだ。上司たちにもしっかり伝えておいてやろう。いや、必要ない。彼らもすぐに君のところへ行くことになるのだから。」
_「万斉ッ!」
彼が刀を振り下ろす。
もうダメか、と思ったが、
なんとかギリギリ間に合ったようだ。
万斉の剣が、山崎のすぐそばに突き刺さった。
_「零杏。こんなところにいたでござるか。
晋助が探していたでござるよ。共に帰るでござる。」
今さら、晋助の元に帰る気などない。
_「いえ、万斉殿。私はまだ帰ることができませぬ。
晋助には宜しくお伝えしていただけますか?」
口の端だけ上げて、微笑む。
_「 ック)
仕方ない、今回は諦めるとするでござる。
山崎、と言ったか…。今回は零杏に免じて赦してやる。」
_「感謝申し上げまする。」
万斉が去ったあと、私は杖を取り出し、
彼に「忘れよ」の呪文を唱えた。
とりあえず山崎を病院へ運ぶため、パトカーに急ぐ。
乗り込んで車内の無線機を作動させると、
何やら緊急事態が起こってい
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