第八十六話 悪巧みは巧妙に
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のですか、それがばれるとその後の行動に悪い影響が出ます。その為、一党の内誰か1人か2人の罪を完全に問わずに無罪放免してその者が盗聴盗撮して密告したと、フレーゲル達に勘違いさせるのが良いでしょうね」
「殿下、良い手ですそれなら疑心暗鬼になり気がつかない可能性が高くなります」
「憲兵隊の綱紀粛正した後で、悪事を暴いて広く臣民に発表致しましょう」
「しかしその様な事、軍の威信の低下につながるのでは?」
「威信の低下は、戦果で戻せます。それより評判の悪い憲兵隊をお父様が厳格に処罰したことを知れば臣民や下級貴族の支持を更に受けられるでしょう」
「儂の威信か、若き頃は欲しいとは思っていなかったが、
テレーゼが儂を担ぎあげまくるの」
「ですの陛下」
にこやかなフリードリヒ四世とニヤニヤ顔のグリンメルスハウゼンである。
「所でクラーマー一家は騒乱罪や反逆罪で極刑が行われる事になります」
淡々とケスラーが言う。皆がそうだなと頷くがテレーゼだけは違った。
「クラーマーですが、態と処刑前に脱獄させてフェザーン経由で叛徒に亡命させましょう」
「はっ?それじゃと厳罰にならんぞ?」
「お父様、私は別にクラーマーが気の毒だと言って逃がすのではないのです」
「どう言うことじゃ?」
「クラーマーは旧悪の為に処刑されるところを、憲兵隊残党によって脱走。
その後、フェザーン経由で叛徒共の所へ亡命した。
帝国で臣民を虐待していたクラーマーを護民軍を自称する叛徒共が受け入れれば、臣民はどう思うでしょうか?臣民は叛徒を更に信用しなく成るはずでは?」
「うむ、その考えはなかったの」
「確かに殿下のお考えは理にかなっております」
「廃品の有効活用ですな」
グリンメルスハウゼンの言葉に思わず、笑みが溢れてきたのは。死者が1名も出ずにいたからであろう。
「無論、旧残党にはアウリスの部下を紛れ込まして、叛徒へのスパイとして潜入させます」
「此処でスパイを入れるわけですね」
「ケスラーそう言う事です、命からがら逃げてきた連中にスパイが居るとは余り考えないでしょう」
まあ駄目なら駄目だけどねと思うテレーゼだった。
「して憲兵隊の今後じゃが、人事をどうするかじゃな、余り貴族の紐付きはいかんの」
「お父様、それなら、憲兵総監にグリンメルスハウゼンを、副官にケスラーを、副総監にモルト少将を、査閲官にケーフェンヒラーをそして実戦部隊をブレンターノに武装憲兵隊には装甲擲弾兵上がりの者を、充てるのが良いと思います」
いきなりの指名に驚く2人。
「私がですかな?」
「小官がですか?」
「そうです、貴族や軍人はこう思うでしょう。憲兵隊総監は70歳の惚け老人、
査閲官は俘虜上がりで心臓病の老人、副総監も爺さんとあれば油断す
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ