一章 救世主
15話 広瀬理沙(5)
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第三小隊長、佐藤詩織はイーグルに向かって小銃を構えながら、円を描くようにイーグルの周りを飛翔した。同様に、第一小隊長・篠原華と第二小隊長・姫野雪もイーグルの周囲を旋回し、その動きを制限するように包囲を縮めていく。
三人の小隊長の動きによって、イーグルの機動力が瞬く間に落ち始め、そこに第六小隊長・白崎凛が突撃を始めた。すぐに凛がイーグルを射程に捉え、彼女の右手に翡翠の光が収束していく。それを見た詩織が勝利を確信した瞬間、イーグルの身体に紫電の光が迸った。
『下がって!』
通信機の向こうから奈々の叫び声。
遠くで、凛の瞳が大きく見開かれるのが見えた。
凛がイーグルに攻撃するより早くイーグルの全身が発光し、大容量のESPエネルギーが迸る。
一拍遅れて、凛の右手から翡翠の光がイーグルに向かって放出される。
二つの巨大なESPエネルギーが衝突し、閃光が走った。
続いて轟音とともに、衝撃が詩織を襲う。
通信機から巨大な雑音が届く中、詩織の身体は大きく空を舞った。姿勢制御に集中し、反転する視界を何とか元に戻そうとする。
何が起こってるのか分からないまま、二度目の轟音が響いた。
再び、軽い衝撃。
ようやく態勢を立て直す事に成功した詩織の視界に入ってきたものは、依然として空に浮かぶイーグルと、堕ちていく凛と雪、二人の小隊長の姿だった。
それを見て、状況を理解する。
イーグルの能力は、あの追尾能力だけではなかった。
純粋な高火力。
どのような戦闘パターンにも対応できる柔軟さこそが、イーグルの持つ能力なのだろう。
詩織は残った華に視線を向けた。イーグルとまともに戦える戦力は、最早華と詩織しか残されていない。
勝てない。
その事実に、詩織は恐怖した。純粋な死への恐怖。そしてここを突破されれば、本土に莫大な被害が出ることへの恐怖。
前者の恐怖から逃れたいと願うも、それは後者の恐怖に阻害される。
『イーグルから巨大なESPエネルギーを確認』
通信機から届く加奈の声に、華が迎撃体勢をとる。詩織も遅れてそれにならった。
『来ます』
加奈の声と同時に、イーグルの口がぱっくりと開いた。
咄嗟に回避行動をとった詩織のすぐ傍を、一条の光線が駆け抜ける。
詩織は背中に冷たいものを感じながら、イーグルに向かって引き金を引いた。
銃声。
イーグルが旋回を開始し、詩織の放った光弾は虚空へ吸い込まれていく。
再び、イーグルの口がぱっくりと開かれるのが見えた。攻撃を諦め、高度を上げて回避を図る。直後、イーグルの口から放たれた光線が足元を掠めた。
『また来る!』
華の叫び声。
三条の光線が一斉に放たれ、詩織の動きを制限するように
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