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Raison d'etre
一章 救世主
12話 広瀬理沙(2)
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カメラに笑顔を向けている中、広瀬理沙だけがつまらなさそうにカメラの外を見ていた。
 奈々は次いで被害者の情報に目を通した。
 被害者は三人、いずれも女で理沙と同じ夢野高校三年生だった。卒業アルバムの為に撮ったらしい三人の写真を見てから、集合写真でその顔を探す。目立つ中央にいた為、すぐに見つかった。彼女らは広瀬理沙とは対象的に明るく笑っていた。
 写真から目を背け、次の書類に手を延ばす。これには、被害者達の更に詳しい情報が記載されていた。
 さっと書類を眺めていた奈々の瞳が一点に止まった。
 八月四日、東杏菜の父親が亡霊との上陸戦に巻き込まれ死亡。
 簡素な文を、奈々は三回読んだ。東杏菜は被害者の一人である。
 奈々は経緯を悟って、軽い目眩を感じた。
「司令! 報告です。白流島付近に巨大なESPエネルギーを確認しました」
 不意に加奈が叫んだ。奈々が書類を置いて立ち上がる。
 モニタを覗きこんだ奈々の顔が強ばった。敵反応は一つ。つまり戦力一定の法則が裏切らなければそれは――
「全小隊長を召集。六人全員をぶつける」
 加奈が頷き、すぐに召集命令が流れる。
 優の行方がわからないまま、新たな闘いが始まった。
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