一章 救世主
8話 長谷川京子
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
な顔をした後、慌てたように答える。そんな二人を優は怪訝な目で見た。
二人はあまり仲が良くないのだろうか。そんな事を考えている間に、詩織は優の斜め向かいの席に腰を下ろした。
「佐藤さんも朝食セット?」
「は、はい」
優が声をかけると、詩織は大袈裟な程肩を震わせた。それを見て、やっぱり変わった子だな、と思う。いつも向こうから接触してくる割に、反応だけを見ると嫌われているように見える。優は小首を傾げた。
「そういえば、明日から休みだよね。何か予定ある?」
京子が顔をあげて優達を順番に眺める。優はふとある疑問を口にした。
「休み中って外に出られるの?」
京子が怪訝な顔をする。
「当たり前じゃん」
「遊んでる間に亡霊が来たらどうするの?」
「小隊ごとに休みの日がずれてるの。亡霊が出た直後だと三つくらいの小隊に同時に休みが出たりするよ」
華の補足で、優は納得したとばかりに頷いた。
「あ、でも入隊した時、勝手に外に出ないよう何度も注意された記憶が……」
「勝手に出たら駄目だよ。総務部に外出許可届出さないと」
「私達、一応特殊公務員だしね。手続きさえ踏めば殆ど何でもできるんじゃない?」
京子はそう言って、再び食事を再開した。
優は中隊に入ってから外に出てない事を思い出し、機会があれば出てみようかな、と思考を巡らせた。
◇◆◇
「司令……?」
神条奈々が司令室のデスクに座ってじっと考え込んでいると、副司令である長井加奈から遠慮気味に言葉を投げかけられた。奈々は我に帰って、視線を加奈に向けた。
「何か報告?」
「いえ、司令、ずっと考え込んでいるようですが、何か問題でも発生したのでしょうか?」
奈々は無言でディスプレイを指差した。不安そうな様子で加奈がディスプレイを覗きこむ。
「……これは」
奈々が示したディスプレイには、戦略情報局から送られてきた訓練カリキュラム変更の通達と広報活動に関する通達が映し出されている。加奈はそれを見て不思議そうな顔を浮かべた。
「SIAからですか」
戦略情報局(SIA)はユーラシア連合の台頭に伴って創設された情報機関だ。統合幕僚監部から独立しながらも、各軍と連携を取りながら対外的な諜報活動も行っている。その権限は年々強化され、過ぎた干渉が問題視されている。
「そう。それで、具体的なカリキュラムがこれ」
奈々はそう言ってコンソールを叩いた。画面が切り替わり、簡素なマトリックスが表示される。途端、加奈の瞳に警戒の色が宿った。
「何ですか、これ?」
ディスプレイに映し出された新しいカリキュラムは従来のカリキュラムとは違い、個人技能の習熟に焦点を当てたものだった。対亡霊戦では複数の小隊を並行して運用する
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ