暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第68話『初陣』
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気配をいち早く察知し、カズマが背後を刀で切り裂く。しかし手応えは無く、空を斬っただけであった。霧と共に。


「何て荒技…!?」

「俺にゃ力で振るしかねぇからな」


カズマの霧払いにより、視界が明瞭になっていく。
先ほどまで居た森の中。その片隅の岩に、一人の人物が立っていた。


「"霧使いのミスト"だな…?」


この前はよく見えなかったが、今はハッキリと見える。漆黒のマントに不気味な仮面。それが彼の特徴であった。


「結月をどこに攫った?」

「……」

「答えろ!!」

「……」


晴登は怒気を露わにするが、ミストの応答は無い。焦れた晴登は右手に風を纏い始めたが、そこである者が制止した。


「…暁君?」

「訊いたところで、この先に居ることに…変わりはないだろ。安否なんて気にしてる暇があったら、先に進む方が良い。ここは・・・俺が引き受ける」


登山によって息を切らしながら、彼は力強く言った。
この先に幹部が何人居るかはわからない。それに魔王もこの先に居るはずだ。だから、なるべく強者を温存する。それが彼の作戦だと、すぐにわかった。


「暁君……お願い」

「任せろ」


伸太郎にミストを託し、残りの一行は先に進んだ。
ミストが後を追おうとするが、それよりも早く伸太郎の炎が放たれる。ミストは軽やかにそれを躱した。


「行かせねぇよ。お前の相手は俺だ」

「……」


ミストは伸太郎に向き直り、仮面の奥から赤い双眸を覗かせる。すると突如、ミストの足元から霧が徐々に発生した。


「三浦……上手くやれよ」ダッ


両手に炎を灯し、伸太郎は力強く駆け出した。

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