第68話『初陣』
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雷の刀が、雷の弾が、雷の槍が、雷の矢が・・・巨大な骸骨の鎧を跡形もなく破壊する。そして、四つの黒雷によって骸骨は焼かれ、みるみる内に灰燼と化した。
こうして、二年生の初陣は幕を閉じた。
*
「魔道具・・・そんな物を作ってたんですか…」
「驚いたか? 俺がいっつも変な物ばっか作ってると思ったら大間違いだぜ」
「変な物って自覚あるのね…」
結月及び竜の祭壇に向かう道中、一行はそんな会話をしていた。終夜は二年生の秘策を既に把握していたため、あの場面を任せたのだとか。
「それでもアイツらにとっちゃ初陣だったし、正直心配だな。つか、『守ってやる』って言ったのに置いてきちゃったよ」
「そういえばそうですね」
「まぁそんな過保護じゃアイツらは成長しねぇよ。これで良かったんだ」
「…そうですかね」
後悔の色を見せる終夜にカズマが一言。力がある者が力のない者を守るのは妥当だが、それでは力のない者は力のある者にあやかるだけである。その言葉に納得したのか、終夜は安堵の表情を見せた。
「あそこは彼らに任せて、儂らは先に急ぐんじゃ。もうじき幹部も動くじゃろう」
「ミスト…でしたっけ。あの霧は厄介ですね…」
「でも逆に言えば、怖いのはそれだけだ。アレさえ無効化できれば、勝てない相手じゃねぇさ」
幹部を迎え撃つにあたって、走りながら作戦を練る。
"霧使いのミスト"。それがこの先に居るであろう魔王軍幹部が一人の異名である。彼が使う霧は世界すらも隠す恐ろしいものだ。他にもどんな手が有るかわかったものではない。
「それに、他にも幹部が居る可能性も有るんすよね?」
「もちろんじゃ。儂の見立てじゃと、"吸血鬼のブラッド"と"魔女のウィズ"も居るじゃろう」
「聞くだに面倒そうな相手っすね…」
晴登としては、吸血鬼や魔女と聞くと少し高揚するのが本音だが、さすがに楽観ばかりはしていられない。本物ならば、生身の人間で立ち向かうのは非常に危険である。
「でも、世界を救うためにはやるしかないですよね」
「あぁ。俺だって一度決めたことはねじ曲げたくはねぇ。最後までやり切ってやるよ」
その言葉に申し訳なさそうにしている婆やを横目に、晴登はある人物を脳裏に思い浮かべた。
「結月…絶対に助けてやる」
静かにそう口にして、覚悟を決める。
──その直後だった。
「霧…!!」
突然辺りを覆う白いモヤ。一寸先は霧と言うべきか、もはや自分たちと足元以外は真っ白で、何も視認できない。
言わずもがな、この霧の正体は・・・
「──後ろだっ!」ブン
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