第68話『初陣』
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「せいっ!!」ドスッ
東と北上の二人が疾風の如く戦線へ飛び出し、早速獲物を駆逐していく。慣れてないとは口にしたが、いざ使ってみれば身体が勝手に動いてくれた。
戦わなきゃ死ぬ。その想いが、彼らを突き動かしているのだろう。
「俺らは援護射撃だ!」パァン
「よっしゃ!」ヒュッ
南雲と西片も初めての武器のはずなのに、一撃一撃が確実に敵を射抜いていた。センスなのか、はたまた武器の恩恵なのか・・・
「にしても、やっぱり数が多いな! 全然減らねぇ!」
「絶えず矢が飛んでくるのも心臓に悪い。とりあえずこの辺の奴を盾にしとくか」
「うわぉ、若干サイコパス!?」
どうしてか、戦場においても減らず口を叩いてしまう。楽しいから・・・だろうか。戦うのが楽しいなんて、そんなの嘘だと思っていたけれど。
斬って、撃って、貫いて、穿って・・・全ての感覚が新鮮で、そして心地よかった。
時々矢が皮膚を掠める。でも魔道具のお陰でダメージは少ないし、むしろ戦闘に身を投じている自分に興奮してきた。
「こうして思うと、中々の変態じゃねぇか俺ら」
「あんな部長の元に付いてたら、そりゃそうなるだろ」
「さらっとディスってくね…」
いつもの様に駄弁りながら、四人は戦場を駆ける。初陣とは思えないほどその身のこなしは軽く、そして鮮やかである。
なんと数十分が過ぎた頃にはもう軍団は壊滅的で、立っている無魂兵はいなかった。ただ一体、例外を除いて。
「さてさて、あのデカいのがボスってことか?」
「骸骨将軍ってか。何かかっこいいな」
「楽観してる暇はねぇぞ。あの鎧は強敵だ」
「遠距離攻撃は役に立たなそうだな…」
四人の目の前に立ちはだかったのは、軍団の長と思われる、身長が2mもある無魂兵だ。その鎧は今までの奴らとは格が違うようで、易々と攻撃が通るようには見えない。
加えて、人型の骸骨の癖に腕が四本ある。それぞれが太刀を握っており、刀身が1mはあった。
「ボスだからって詰め込みすぎだろ!?」
「全員で掛からないと倒せないな…」
「けど、今の俺らになら魔術は使えるんだ!」
「見せてやろうぜ! 魔道具、解放!」パァァ
四人の武器が新たに光を放ち始める。魔道具の真骨頂、"固有魔術"の発動の証だ。固有魔術とは、魔道具が本来持っている魔術のことであり、それはストックされている魔力に由来する。ちなみに、その魔力とは・・・
「「部長の・・・"夜雷"!」」バリバリ
黒雷が荒れ狂い、森が騒がしくなる。もはや二年生自身にも制御できないほどに。
しかしそれでも、彼らは不敵な笑みを浮かべた。
「「これで終わりだぁ!
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