第68話『初陣』
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て結月を攫った仮面がミストと云うらしい。
・・・いや、そんな情報は今は必要ない。第一に、ここから逃げる方法を模索せねばならないのだ。ただ、手足が封じられている以上、他力本願ではあるのだが・・・
「ハルト…」
想い人の名を呟き、結月は助けを待ち望んだ。
*
一騎当千とはよく言ったものだが、ここではそれに近い戦闘が行われようとしていた。数百の軍勢に対して、迎え撃つのはたったの四人。普通に考えて、まず四人に勝ち目は無い。しかし、その四人は少しばかり特別で──
「部長、ありがたく使わせて貰います!」ジャキン
四人はそれぞれ武器を取り出した。刀、槍、弓、銃と、種類は様々である。もちろんこれだけで戦うとしたら、せいぜい数体が限度だ。しかし、これらがただの武器と思ったら大間違いである。
「「魔術、起動!」」ヴン
その時、四人の足元に魔法陣が浮かび、武器は光を発した。これこそ彼らの秘密兵器、『魔道具』である。簡潔に説明すると、魔術が使えない者が魔術を使えるようにするためのものだ。
「こんな時の為に、部長に作って貰っといたんだよ!」
「こんな時が来るとは思わなかったけどな」
「おかげで使用するのも初だし」
「待って、それってヤバくない?」
自信がドンドンと下がっていく。
確かに彼らは魔道具を使うのは初めてである。何せ、魔力を埋め込むという設計だから、魔道具は有限なのだ。練習は比較的するものではない。だからしなかった。
「いやいやいや! そんな付け焼き刃でどうにかなるのかこの状況!?」
「イメトレだけはしっかりしてたからな。何とかなる」
「そういう問題!? 俺もしてたけど!」
「という訳で、自己紹介でもしてやろうぜ」
戦闘の前には自己紹介するのがルールというものだ、たぶん。そして実はこんな展開の為に、かっこいい自己紹介を各々考えていた。四人は武器を構え直し、大きく息を吸い込む。
「俺の槍はあらゆる盾を貫く! 北上、参上!」
「俺の銃は百発百中! 南雲、見参!」
「俺の刀は全てを断ち切る! 東、出陣!」
「俺の弓は狙った獲物は逃がさない! 西片、抜錨!」
その自己紹介が終わるやいなや、彼らの武器が光り始めた。実はこれは魔道具発動の合図である。
「っしゃあ、行くぞ!」ビュン
「速っ!?」
ストックされた魔力によって武器自体を強化するだけでなく、使用者の身体能力まで強化してしまうのがこの魔道具。即ち、筋力が上がったり、足が速くなったりもする。
「おらぁぁぁ!!」ジャキン
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