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儚き想い、されど永遠の想い
356部分:第二十七話 このうえない喜びの後でその八

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第二十七話 このうえない喜びの後でその八

「ですからお楽しみ下さい」
「漢方薬もですか」
「シェフが考えてくれました」
 これはシェフの考えによるものだというのである。
「高麗人参だけでなく他の漢方薬もふんだんに使っています」
「奥様のことを考えてくれてです」
 婆やは真理を見て話す。
「シェフがそうしてくれたのです」
「有り難うございます」
「支那料理は医食同源と聞いています」
 真理にだ。婆やはこうも話す。
「ですから」
「医食同源ですか」
「それが支那料理です」
「あの国には長い歴史があります」
 ここで義正も言った。
「その中で漢方医学は発展していき」
「料理と一つになったのですね」
「はい」
 その通りだとだ。義正は真理に話した。
「ではその料理をです」
「今宵はですね」
「召し上がりましょう。そして」
 真理の身体を気遣って。そうして言う言葉だった。
「御心を安らかにされて下さい」
「わかりました」
 こうした話をしてだ。そしてだ。
 その夕食を楽しげに採る。その味は。
 確かにだ。美味だった。その支那料理を味わいながら真理は言った。
「この豚肉も」
「違いますね」
「はい、よく煮られていて」
 豚バラ肉は大きく切られそのうえで生姜等と共に何時間も煮られていた。その色は奇麗な茶色だ。その豚肉を実際に食べてみてだった。
「柔らかいですし」
「味もいいですね」
「はい、とても」
 真理は顔を綻ばせて話す。
「しかもそれでいてですね」
「身体にもいいのです」
「豚肉だけではないからですね」
「中に多くの漢方薬が入っています」
「確かに。この生姜も」
 生姜はかなり使われていた。しかもだった。 
 その豚バラ煮込みだけでなくだ。八宝菜もあった。その八宝菜もだった。
 中に様々な漢方薬がある。それも食べて話すのだった。
「八宝菜も」
「漢方薬がありますね」
「はい、その宝庫です」
 それが二人が食べている支那料理だというのだ。
「ですからこの料理を召し上がられて」
「それとお粥もですね」
「お粥にもです」
 支那風の粥もだった。そこにもだった。
 高麗人参やそうしたものが入っていた。その粥もだった。
「入っていますので」
「この味はいいですね」
「まことに」
 こう話してだった。彼等はその味を楽しむ。身体への滋養だけでなくだ。
 最後には果物も出た。それは林檎だった。これだけは支那風ではない。
 その林檎についてだ。義正はこう真理に話した。
「林檎もです」
「林檎もですか」
「滋養にいいのです」
 そうだというのだ。林檎もだ。

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