355部分:第二十七話 このうえない喜びの後でその七
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第二十七話 このうえない喜びの後でその七
「幸せは正しくありたいですね」
「そうですね。では最後まで」
「幸せの中で共に」
「生きていきましょう」
こうした話をしてだった。二人は。
二人の子供、義幸を見て話すのだった。その二人にだ。
佐藤が来てだ。そうしてこんなことを言ってきたのである。
「義幸様のことですが」
「うん、何かあったのかな」
「どうかしたのですか?」
「はい、そのことですが」
佐藤だけでなく婆やも来てだ。それで二人に言ってきたのである。
「奥様のお身体が弱いので」
「だからですね」
「今はこちらでお乳を差し上げています」
そうしているのだ。真理は病の為身体が弱くだ。そうしたものは出ない。それで婆やの方で乳を用意してだ。義幸にあげているのだ。
そのことについてだ。婆やは言うのである。
「これからもそうしましょうか」
「私は申し訳ありませんが」
暗い顔でだ。真理は述べた。
「そうしたことはできませんので」
「だからですね」
「はい、御願いします」
こう婆やに頼むのだった。そしてだ。
その彼女にだ。今度は佐藤が話す。
「ではこのまま西洋から取り入れた粉ミルクで宜しいですね」
「はい、それで」
「乳ならですが」
婆やもここで話す。
「私が乳母を知っているのですが」
「それも考えましたが」
どうかとだ。ここで言ったのは義正である。彼はこう佐藤と婆やに話した。
「しかし。それもどうかと思いまして」
「乳母はお嫌いですか」
「嫌いではないです。ただ」
「それでもですね」
「どうも他の方のお世話になることはです」
好きになれないというのだ。それでだ。
さらにだった。こんなことを言ったのである。
「それに」
「私の病がありますので」
真理がここで言った。
「労咳ですから」
「だからですか」
「乳母の方も来られないでしょうし」
それが為に真理も乳が出ないのだ。やはり病は彼女を確実に蝕んでいた。
しかもだ。彼女は近頃だった。
「この子を産んでからあまりです」
「御身体が優れないのですね」
「困ったことに」
「無理をしたのでしょうか」
暗い顔になりだ。義正が言った。
「やはり」
「いえ、それは」
「あまり」
佐藤と婆やがだ。義正の気持ちを察して声をかけた。
「御気になさらずに」
「そういうことは」
「そうですね」
そして彼もだ。二人の言葉を受けてだ。気を取り直した顔になりだ。
そのうえでだ。少し明るい顔になって述べた。
「ではそのことは」
「あまり御考えになられずに」
「幸せを楽しまれて下さい」
「はい」
頷いてだった。こう言ったのである。
そしてだった。あらためて二人の子供を見てだ。
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