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レーヴァティン
第四十二話 山伏その七

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「そうしています」
「それはいいことであります」
「若しそのままで食べますと」
 謙二も言ってきた。
「その時はよくてもです」
「後が厄介であります」
「はい、虫は魔物以上に厄介です」
 謙二は川魚の中にいる虫についてこうも言った。
「あれは身体を蝕みます」
「その話はわしも聞いてるでありますぞ」
「そうですか」
「外の世界でも」
 彼等が本来いる起きた時の世界でもというのだ。
「聞いておりまして」
「だからですね」
「鯉は好きでありますが」
「川魚なので」
「生では確かな場合以外食べないであります」
 そうしているというのだ。
「この世界でもそうしているであります」
「いいことでござる」
 智は峰夫のそのことをよしとした。
「まことにそうしたことを気をつけてこそです」
「ことを進めていけるでありますな」
「そうでござるよ」
「若し虫にあたれば」
「この世界では術で殺すことも出来るでござるが」 
 そうした術の使い方も出来るのだ。
「しかしでござる」
「最初からであります」
「左様、虫なぞ身体の中に入れない方がいいでござる」
「それに越したことはないですので」
「だからこそでござる」
「鯉もでありますな」
「釣ったか買ったものを」
 そうして手に入れた鯉をというのだ。
「凍らせるでござる」
「そしてそのうえで」
「食べるでござるよ」
「他の料理もある」
 その刺身以外にとだ、英雄は峰夫に再び話した。
「鯉はな」
「鯉こくや鯉鍋もでござるな」
「あと揚げても美味い」
「鯉の揚げものでござるか」
「それも食うとしよう」
 刺身等と共にというのだ。
「そうだな、刺身と鯉こくとだ」
「鯉の揚げものでありますか」
「天麩羅がいいか」
 この島にはこうした調理の仕方もあるのだ、このことも英雄達の世界の室町時代の日本とは違うことの一つだ。
「それか唐揚げか」
「どちらもいいでありますな」
「それは店で決めるが揚げものもだ」
「食するでありますな」
「それに酒もだ」
 こちらも忘れない英雄だった。
「飲むな」
「はい」
 峰夫は英雄ににんまりと笑って答えた。
「わしは酒も大好きであります」
「やはりな、俺達は全員酒好きだ」
「拙僧は般若湯ですが」
 僧侶の謙二はこの言葉を出した。
「そういうことになりますが」
「では謙二殿は般若湯を」
「飲ませてもらいます」
 こちらの名でというのだ。
「そのお店では」
「それでは、しかしこの世界では僧籍でも肉食妻帯が出来るでありますな」
「そのことも室町時代の我が国とは違いますね」
「明治以降であります」 
 それからの日本の仏門の世界だとだ、峰夫も言う。
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