354部分:第二十七話 このうえない喜びの後でその六
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第二十七話 このうえない喜びの後でその六
「カレーだけでもいいけれど」
「珈琲もですね」
「一緒に合わせて出すのはね」
「いいと思います」
微笑みだ。義美は答えた。
「とても」
「そう。いいんだね」
「後。デザートのこれですが」
「アイスクリームだね」
「これも西洋から入って来たものですが」
その白く丸い形のアイスに銀のスプーンを入れながらだ。義美は嬉しそうに話す。
「美味しいですね」
「西洋のお菓子もね」
「これもまたいいですね」
「八条百貨店でも取り入れているし。それに」
「それに?」
「和菓子屋で山月堂という店があるね」
神戸、とりわけ八条町では有名な店である。上品な味の和菓子で。
「そこでも近々洋菓子を作るつもりらしいね」
「山月堂でもですか」
「そう、あの店でもね」
作られようとしているというのだ。
「和菓子のお店だけれどね」
「同じお菓子だからですね」
「洋食は確実に我が国に入ってきている」
「支那料理と共に」
「そう、あの支那料理もまたそうだね」
「今我が国には様々なものが入って来て定着してきています」
西洋からだけでなく支那からも。まさにそうした時だった。
「ですからそうしたものを全て取り入れてです」
「我が国は発展していって」
「そして八条財閥も」
「はい、発展していこう」
こうした話をしてだった。彼等は。
未来を見つつだ。西洋から日本に入ったものを味わうのだった。その後でだ。
義正は妹と別れてそれぞれの仕事に戻った。それが終わりだ。
屋敷に帰った。そこには真理と。我が子がいた。
まずは妻に会いそれから小さなベッドに寝ている子を見てだ。それでこう思ったのである。
「幸せとは」
「はい?」
言葉に出してしまっていた。それを聞いてだ。
真理がだ。彼に問うた。
「今何と」
「いえ、幸せのことですが」
「そのことですか」
「はい、今がそうなのですね」
微笑んでだ。幸せのことを話すのだった。
「今私達がいるこの状況こそが」
「幸せですか」
「そう思います」
こう妻にも話したのだ。
「確かに貴女は」
「病のことですね」
「はい、しかしそれでも」
「そうですね。人は何時か必ず死にますから」
こう言ってだった。二人は。
今度は我が子を見た。二人でだ。それからこう話すのだった。
「その幸せこそがですね」
「この子ですね」
「そうですね」
こう話すのだった。
「まさにその通りです」
「この子がいれば」
義正がまた言う。
「私達は心から幸せになれます」
「この子の名前はよかったですね」
「あの名前にしてですね」
「はい、とても」
笑顔でだ。義正はまた真理に答えた。
そしてその彼
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