19 人が佇んでいると、必ず誰かが話しかける。
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説き、厳しく律する法度。これを1つでも犯せば即切腹。そこにはお前の理想とする武士道が詰まっている。オレたちはみんな、それに賛同した。分かるか、トシ。お前はヤツらにとって理想の武士の写し見だ。みんなお前を手本としている。みんなお前を見ている。オレが言えた義理じゃねェが、士道に背くような真似をしてくれるなよ。」
_「大した野郎だ。あっという間に広まっちまったよ。オレの醜態。
ま、野郎にとっては、オレを蹴落としてのしあがる絶好の好機だからな。」
_「トシ!そんな言い方はやめろ。
伊東先生は、隊内の指揮を思って…」
_「「先生」と呼ぶのはやめろ、と言ったはずだ。
近藤さん、アンタ局長の座をヤツに譲るつもりか?
そうじゃなけりゃあ、アンタとアイツ、二人で真選組の頭やる、って腹なのかね?
隊士の連中がアイツの扱いに戸惑ってるのを知らぬわけじゃあるまい。共に入隊してきた同門の者の他数名が、すでにヤツに与しているほとだ。」
そうなの。私もその一員に入るように、的なことを言われるようになったんだよね。
「伊東先生が、真選組を乗っ取るつもりだ、とでも?」
_「さァな。だがヤツが異例の出世を遂げる以前から、アンタと同等、それ以上の振舞いをしているのは確かだよ。ヤツァ、今の自分に増長しているわけでも、満足しているわけでもねェ。近藤さん、頭が二つある蛇ァ、一方の頭が腐って落ちるか、反目して真っ二つに体を引き割いちまうか、どちらかだ。」
_「オレは、伊東先生は真選組に必要な男だと思っている。トシは、オレたちァ、己の地位を守るためにこんなことをやっちゃァ、いめぇェよ。江戸を守るため、士道を通すため、だ。
そのための知恵なら、誰にでも乞う。
教えを乞うた者を、先生と呼ぶのは当然の理だ。それを家来のように扱え、と言うのならオレは断る。オレは一度としてお前らを家来だと思ったことはねェ。士道の名の元、オレたちは五分の仲間だ。」
_「 チッ)
近藤さん、アンタ何にも分かっちゃァいねェ。きれいごとだけじゃ組織は動かん。ん?」
ん?
_「トシィィィッ?」
…え!?
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