勧誘
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お兄様も、それから深紅も、実戦なら誰にも負けません!」
段々と口調をヒートアップさせて行く深雪に、服部が諭すような口調で言い出した。
「司波さん。我々魔法師は常に冷静を心がけるべきだ。身贔屓に目を曇らせるようではいけない」
しかしそれは、全くの逆効果だった。
「お言葉ですが、わたしは身贔屓に目を曇らせてなどいません!
お兄様も魔法だって本当なら……」
「深雪!」
思わず口を滑らした深雪を、達也が鋭く制する。
深雪はハッとしたような表情を浮かべて俯いた。
「服部副会長」
今まで、当人のくせに傍観に徹していた達也が一歩前に出た。
「俺と模擬戦をしませんか?」
これは、第三者から見たら、無謀としか言いようのない提案。
「調子にのるなよ!ウィードの分際で!!」
馬鹿にされたと思った服部が、顔を赤くして叫ぶ。
それを見ていた深紅が、くすくすと笑いを漏らした。
「何がおかしい!!」
深紅の方に鋭い視線を向けた服部に、深紅が更に笑う声を高くした。
「魔法師は常に冷静を心がけるべき、ではないのですか?服部刑部少丞範蔵副会長?」
「だからフルネームでは呼ぶなとっ……!」
完全に馬鹿にされ、更に頭に血を登らせる服部。
そしてその後、服部対達也の正式な模擬戦が行われ、達也が圧勝したのは言うまでもない……。
??????
「そういえば、わたしの実力とかは確かめなくていいんですか?」
模擬戦が終わり服部が演習室を出て行ってから、深紅がポツリとこう言った。
「わたしは達也ほど強くないですし、風紀委員になっても足を引っ張ってしまうと……」
風紀委員なんて面倒くさいことはしたくない、これが深紅の思いであった。
「不知火には風紀委員に入ってもらいたいと思ってる。何せあの不知火だ。武術の方もかなり長けているだろう?」
「いやぁ、わたしはそれほどでも……」
「深紅、何嘘をついているんだ?俺と試合をしても、ほとんど引き分けの実力を待っているだろう?」
一人だけ逃げるのは許さないぞ?と言わんばかりの顔をした達也に、あっさりと自分の強さを暴露される。
「それに深紅は、術式解体が使えるじゃないか」
おまけに、完全に確信犯のとどめの一言だ。
「なに?!不知火は術式解体が使えるのか?」
摩利をはじめとし、その場にいる先輩たち全員の目に驚きが走る。
「ええ……使えることには使えますけど……」
そう言いながら、達也の方に恨めしそうな視線を向けるも、そっぽを向かれてしまう。
−−−覚えておきなさいよ、達也。
その意を込めて、達也の方に精一杯の笑顔を見せる。
その笑顔の意味をきちんと汲み取ったのか、達也の表情がこわばった。
「術式解体が使えるなんて、風紀委員としては最高じゃないか。
よし、これから頑張ってくれたまえよ
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