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鎮守府のみかんの木
5.冬
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く食べてくれれば、これ以上の喜びはない。

「……よかったら、また来年も、こんな風においしいみかんを、たくさん私たちに届けて下さいね」

 任せろ。皆が私を愛してくれる限り、私は全力で美味しいみかんを、皆に届けてご覧に入れる。

 そうして私は、今年も一年がかりの大仕事を終えた。今年のみかんの出来も上々。皆に喜んでもらえる、極上のみかんを届けることが出来た。

 きっと来年も、そのまた来年も……極上のみかんを皆に届けることになるだろう。約一名は、永遠にすっぱいみかんで悶絶することになるかもしれないが……私がここにいる限り、皆に素晴らしいみかんを届けることを、私は心の中で約束した。

 では、私は今年の休眠期に入る。同士でありライバルの、桜の奴らが蕾をつける頃に、私はまた目覚めることにしよう。

 ……わたしを愛してくれる皆よ。来年の春頃にまた会おう。来年も楽しみに待つがいい。皆が私を愛してくれる限り、私は毎年、極上のみかんを届けて差し上げる。

 では、私が愛する鎮守府の皆よ……おやすみ……zzZZZZ

 休眠。

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