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KANON 終わらない悪夢
131泡になって消える妖狐
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は選べなかった。
 この世の名残に最期の望みで現世に降り立ち、祐一の元に嫁いできた真琴。
 もう願いは既に叶えたので、子を成さずに命を終えても、悔いは残らない。

 あゆの母も、誰かと入れ替わりたい願望を持つ、記録に残されていない妖狐が丘から降りてきて、あゆの母と術でも使って入れ替わり、元の人物の存在を全て消去して、記憶を奪って背乗り、愛する人と結ばれて子供でも産んで、寿命を使い切って死んだのかもしれない。
 秋子の結界を超えて祐一と知り合ったり「森の中の学校」と言う固有結界を開いたり、自分の死という現実さえ捻じ曲げ、現世に訪れて友人と再開して、生身がある人物のように振る舞う。
 それは天使の人形の助力を除いても、最低限美汐か舞と同等以上の術者、ハーフの妖狐である必要があり、そうでなければ説明が付かない事件が多すぎた。

 椿の間
「行くよ、美汐」
 友人として、美汐も誘う妖狐真琴。
 (えにし)が強い美汐とも同じ人物に嫁いで、子供を成したり育てる行為は、この友人に託して消える覚悟はできていた。
 自分という存在の元になった人物、沢渡真琴には多少我慢してもらっているが、この里では毎週のように結婚式ができて、信者、政治家、企業、里の者だけの内祝い、嫌になるほど披露宴ができるので、今回は譲ってもらった。
 大勢のジジイババア信者の前で見世物になって、大道具と合体したり、ワイヤーアクションで空を飛んだり、ある意味夢のような式だが、そちらは遠慮した。
「え? いいの?」
 月宮本家からの嫁、チョロインさん放置。今はマコピーが怖すぎるので接近してこない。
(あれ、真琴ちゃん?)
 最終兵器彼女も、怪獣パワーを出さず、明らかに今生の名残を楽しんでいるような妖狐を見て、邪魔をしようとはしなかった。

「それでは、お二人の初めての共同作業です」
 来客には月宮真琴さん見えている、花嫁とのケーキ入刀の儀式が行われた。
 中学以降、金には恵まれた真琴お嬢様なのだが、恋愛とか子作りとか、父親もいる一般的な幸せな家庭とか、普通の優しい母親も無かった。
 何か天啓を受けて非ぬことを叫ぶ母親とか、それ以降変な宗教にのめり込んだ生活をさせられ、修行漬けの毎日。
 家族にも環境にも何一つ恵まれず、金の使い道すら無かったお嬢様。
 本日も華燭の宴を迎えられず、結構憂遇(うぐう)な状況に追い込まれているので、幸運のパラメータは非常に低いと言わざるを得ない。

「はい、次、美汐ね」
「ええ…」
 美汐にも、栞のような野性的な動物の感は無いが、悲壮な決意とか覚悟が見て取れて、ゆうくん入刀を断念して、ケーキに入刀した。
 カメラには現実の姿が映るはずなのだが、女神的なアレとか、妖狐的なコレとか、色々な理由で教団カメラには月宮真琴さんとチョロ
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