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夢幻水滸伝
第四十話 高城への進軍その十
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「それからや」
「さらにやな」
「囲む、ただな」
 それはしてもというのだ。
「攻めることはせん」
「攻める素振りは見せてもな」
「それでもや」
 実際にはというのだ。
「攻めへん、それでな」
「敵がどう動くかやな」
「相手は僕が言うた通りにな」
「夜に来るな」
「それも殆どの奴が寝静まる真夜中や」
 いるのは見張りの者だけになっているその時だというのだ。
「一旦前から仕掛けてきてな」
「それで慌てさせてやな」
「その前から仕掛けた軍勢を攻めさせる」
「けれどその前の軍勢は一旦逃げる」
 攻めたがすぐに反転してというのだ。
「それで自分達が攻めやすい場所に釣り出す」
「この辺りやと丁度広い場所があるしな」
 高城の南東にある場所だ、そうした場所があることも中里は既に斥候からの報告やこの辺りの地図から知っている。
「あそこまで釣り出して」
「そしてや」
「そこで横や左右に潜ませておいた伏兵で攻める」
「高城からも敵が打って出る」
「そうして来るな」
「もう鉄砲も術も何でも使って攻めて来るで」
 その時九州の軍勢はというのだ。
「そうして来るで」
「囲んで一気に奇襲を仕掛けて来るか」
「実際に島津家がここでやった必勝戦術や」
 沖田畷でもした、そうして島津家は二度の決戦に勝って九州での覇権をその手中に収めたのである。
「当たったらもうな」
「大友家や竜造寺家みたいにやな」
「どうしようもない位に負ける」
「僕等の九州での優位も吹き飛ぶな」
「そのまま大宰府まで奪い返されるわ」
 そうなってしまうというのだ。
「一気にな」
「そして九州から本州四国にやな」
「攻勢を受けかねん、そやからな」
「ここはやな」
「僕の考え通りにや」
 まさにというのだ。
「やるで」
「釣り野伏破りやな」
「あの戦術は確かに強い」
 敵を散々に破るものだというのだ、今話した通りに。
「しかしな」
「人間の考えたものやからやな」
「完璧なものやない」
「そやから破ることが出来るな」
「そや」
 その通りだというのだ。
「その為の策がや」
「昨日の夜自分が話したことやな」
「あれで破るで」
「そうして勝つんやな」
「それも敵はこっちを散々に破るつもりやけどな」
 それをというのだ。
「逆にや」
「徹底的に叩いてか」
「九州での戦自体を止めるんや、さもないとや」
「東海と北陸がか」
「今は連中は関東、東北つまり東国と睨み合ってるけれどな」
 それがというのだ。
「あくまで今や」
「今やな」
「そや、今の時点や」
「これからどうなるかわからんか」
「連中がその東国と講和してな」
「そしてやな」
「こっちとまた戦になる可能性もある」
 兵を戻してきてと
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