第七幕その九
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「面白いよ」
「左様ですか」
「うん、ただね」
「それでもですね」
「難しいことは確かだね」
このことはどうしてもというのです、先生は苦笑いでお話しました。
「その難しさの前に中々進めないよ」
「私は特に」
「思っていないんだ」
「そうです」
白鹿にしてみればです。
「古事記や日本書紀、他の文献に出ることは大抵頭に入っていまして」
「千数百年の間に」
「奈良の神々にお仕えしている間に」
「そうなんだね」
「はい、ですから私は」
「特にだね」
「難しいと思いません、それでなのですが」
「三山のことだね」
「宜しくお願いします」
「わかったよ」
「私は奈良の何処でも出られるので」
それでというのです。
「何時でもお呼び下さい」
「それでは」
「はい、その様に」
こうお話してです、先生達は一旦白鹿と別れました。そうしてホテルに戻りに道を歩くのですがここで。
動物の皆がしみじみとした口調でこんなことを言いました。
「やっぱり何か起こったね」
「そうだね」
「先生がお外に行くと大抵こうなるね」
「そして今回も」
「その時になったね」
「うん、僕はね」
先生ご自身も言います。
「こうしたことが多いね」
「そうだよね」
「神戸にいてもそうだしね」
「お静さんともお会いしたしね」
「本当に何かとあって」
「色々忙しいよね」
「学問以外のことでもね」
まさにというのです、先生ご自身も。
「そうだね、けれどね」
「三山についてはだね」
「最初から考えている通りにね」
「見て調べて」
「そして論文を書く」
「そうするのね」
「そうするよ」
先生もこう答えます。
「これからね」
「うん、頑張ってね」
「そうしてね」
「何かと大変だけれど」
「それでもね」
「楽しくね」
先生にとって学問はお仕事ですが同時にこの上なく楽しいものです、それで皆にもこう言ったのです。
「やっていくよ」
「うん、じゃあね」
「頑張ってね」
「僕達も傍にいるし」
「僕達でよかったら助けさせてもらうよ」
「それじゃあね」
こう応えてそしてでした、先生達は宿舎にしているあの奈良市のホテルに戻る為に明日香駅から電車で奈良に戻りました。そうしてこの日もゆっくりと休みました。
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