4.秋
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ともお前らしい。……いや憎らしい仏頂面も似合うといえば似合うな。
――みかんよ 主への気遣い、感謝する
構わん。主を案ずるお前の心意気は、きっと彼女も感づいているだろう。例え我らの言葉が、彼女には届かなくとも。
――私は剣ゆえ、暴力で主をお守りすることしか出来ぬ
私もお前のように、気遣いが出来る身体になりたかった
自分を卑下するのはやめるがいい剣よ。確かに私はロドニーを果実で気遣うことは出来るが、逆に暴力からロドニーを守ることは出来ぬ。その時はお前が主を守ればいい。適材適所というやつだ。
――……感謝するッ
そうして私が剣とロドニー談義をしていたら、向こうの方から人の気配が近づいてきた。この足音は……どうやら、彼女の一番の戦友が彼女を迎えに来たようだ。
「ロドニーさーん。そろそろ仕事ですよー」
ハッとしたロドニーが、目にたまった涙を拭う。まるで泣いてなどいなかったかのように目の赤みもサッと引いたロドニーだったが、彼女の袖口は、ほんの少しだけ、涙で濡れていた。
ロドニーの一番の戦友、赤城が近づいてきた。戦争の頃は真っ赤な弓道着を着ていた彼女だが、今では水色のツナギのような作業着を着ていることが多い。あの真っ赤な弓道着も凛々しくて素敵だが、私は、今の、ダサくて彼女に全く似合ってない、水色の作業ツナギの方が好きだ。
「ぁあ赤城。今日はどこだ?」
「私は大淀さんの学校です。ロドニーさんはいつも通り大学ですね」
「私もたまには大淀の学校に行きたいのだが……」
「駄目です。あなたは人当たりが強いので、生徒さんたちがびっくりしちゃいますから」
「そうか?」
「だってあなた、この前大淀さんの学校に行った時、元帝国軍人のモチヅキさんに『貴公! 勝負だッ!!』て大騒ぎしたらしいじゃないですか……」
「強者には勝負を挑まずにはいられない……それがネルソン級だッ。キリッ」
「そういう矜持を持ち出されるから困るんですよ……」
そんな軽口を叩き合いながら、2人は私のもとから離れていく。そうだ。それでいい。今は亡き友のことを忘れろとは言わぬ。だが、今を精一杯生き、思いっきり楽しんでこそ、先に逝った者も浮かばれるというもの。
ロドニーよ。今のお前は輝いている。そんなお前を、亡き友イカズチも笑顔で見守ることができよう。私にはそんなイカズチの姿を感じることは出来ないが、きっとそうだ。
「ぁあ、そうだ」
少し離れたところで、ロドニーはそう口ずさみ、私の元に戻ってきた。
「……みかんよ。礼を言う」
……なにについてだ?
「私を元気づけようとしてくれたこと……そして、その酷くすっぱいみかんで、イカズチの叱責を私に伝えてくれたことをだ」
あれは完全に私のミ
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