崩される四天王
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当はあなたを見逃してあげたいけど、それはできないみたい」
「リュシー殿・・・」
聖十大魔道の中で2人は年齢が比較的近かったこともありよく話をしていた。そんな仲の良かった友人を殺すのはやはり勇気がいる。
「でも、ごめんね。私はこの大陸を滅ぼさなければならないの。あの子のために」
そう言い残し、頭を踏みつけていた足を大きく振り上げる。それを最速で彼の体に振り下ろすと、ジュラは深く地面に突き刺さり、絶命した。
「さぁ、後はあなただけよ、ハイベリオン」
残された最後の1人の元へ歩み寄るリュシー。彼女は虫の息である彼の体を持ち上げる。
「リュシー・・・最後にこれだけ言わせてほしい・・・」
「命乞いなら聞かないわよ?」
彼女の言葉に首を振る。口を開くのも辛いはずのハイベリオンは最後の力を振り絞り、彼女にこう告げた。
「君の妹は、元気に生きている」
その言葉を聞いた瞬間、リュシーは強く歯を噛み締める。
「あなたたちにあの子の何がわかるって言うのよ!!」
激しい怒号により大地が割ける。リュシーはウォーロッドと同じ言葉を繰り返すハイベリオンの心臓を一突きにした。
「ゴハッ・・・」
血を吐き出し動かなくなる聖十の男。リュシーは彼を地面に落とすと、亡骸の存在を隠すかのように情け容赦なく魔力を打ち込み、彼を消滅させた。
「やった・・・ついにやったわ・・・」
小刻みに震える黒髪の女性。閉幕した戦いを見届けたオーガストとジェイコブは彼女の元へと歩み寄る。
「涙を拭け、リュシー」
そう言ってジェイコブがハンカチを差し出したのを見て初めて気が付いた。自分が涙を流していることに。
「あら・・・私、そんなに嬉しかったのね・・・涙を流すくらい・・・」
受け取ったハンカチで目元を押さえるリュシー。彼女はわかっていた。自分のやったことがどれだけ無意味で、残忍な行為だったか。こんなことをしても亡くなった妹は帰ってこない。目の前の失われた命が、その時の絶望を鮮明に呼び起こしていた。
「リュシー。一度陛下の元に帰還せよ。心臓は我々が奪い取る」
「いいえ。それはできないわ」
顔を上げ深呼吸をする。彼女はオーガストとジェイコブ、二人の顔を見ると、小さく微笑んだ。
「行きましょう。私たちで彼に心臓を届けるのよ」
もう後悔はない。後戻りもできない。やってしまった罪の重さは消えることは決してありえない。彼女は全ての不安を封じ込め、二人の男たちと共に妖精の尻尾へと急いだ。
東方の戦いが終幕を迎えた頃、ハルジオン解放戦は街の前まで来ていた。
「ソフィア!!どこだ!!」
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